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371  新しき菜箸下す米寿の日 夫と二人の朝餉善しとす [文芸(短歌・俳句) 時事]


                             

   随想コラム「目を光らせて」NO.371 「朝日歌壇・朝日俳壇」

  

 

      歌壇 期間: 2017.8.7~8.28

 

 

  

     新しき菜箸下す米寿の日

 

       夫と二人の朝餉善しとす

 

 

     題 目:

   朝日新聞(2017.8.21)(川崎市)佐伯恵子氏入選作。

               アオウ ヒコ

 

24-DSC_0042.JPG
  洋画家 青沼茜雲 の作品集から。34.「大宰府天満宮御本殿」

           ・イギリス王立美術院名誉会員

           フランスサロン・ド・トンヌ会

           ・ノーベルノルウエー財団認定作家     

         ・世界芸術遺産認定作家 ・日展所属  

 

 

                     

        「朝日歌壇・朝日俳壇から」 

  朝日新聞の歌壇・俳壇の入選作の中から最新の世相を鋭く切り取った

 

 作品を新たに選び、コメントを付けています。コメントは文芸上の範を

 

 超えることがあります。

 

  作品の頭に印が付いている作品は、時の政権が推進する前のめりの

 

 右傾化路線、平和憲法を無視し、国会の存在をないがしろにするさまを

 

 危惧する市民の投稿になるものです。これらの作品は、ここでは個々の

 

 作品の文芸上の軽重を問うことなく、注目すべき最新の世相を凝縮した

 

 作品として、そのすべてを採録しています。

 

  これらの作品に対しては、投稿者の真摯な叫びに読者の耳、素直に従

 

 うべしとして、コメントはつけておりません。

 

  また、文中敬称は省略しております。  (筆者)




  朝日歌壇 2017.8.07

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         ラン  日本国際らん展から (aou.hiko) 以下同じ。

 

 汚れたる神田川にも水草に摑まり揺れるオハグロトンボ

           (東京都)宮田義昭

 あゝ、こんなにも環境が悪いところに棲んでいるのか、すまんなあ

びっくりしたり、同情したりしている                                                                                                                                                                                                                           

 ホタル撮る君のカメラをのぞくふりをしながら触れる背中

 

 のぬくみ  

               (西条市)丹 佳子

             

 なるほど、そういう手もありにしか。ついでにぐっと重心を前にかけ

 

れば、二人は前なる蛍棲む疎水の中へ。しばらくは蛍交えて水中の踠き

 

になったであろうに。親切な「ぬくみ」君の介抱を受けたであろうに。

 

                                                    

 湯畑は夏の花燃ゆる匂いする草津に湯もみ唄が流れて

 

              (越前市)内藤丈子

 

 ひさしぶりに行かれたか草津温泉 。草津は数年前から町を挙げての

 

リニューアルが一段落。明るい街並みの温泉町へと変貌した。街の入

 

口にある「湯畑」は前と同じく、長方形の浅い箱を50㍍余の長さに連

 

ね、高温の源泉をゆるゆると流すうちに湯温を下げる冷却装置として機

 

能させている。周りに漂う匂いは硫黄泉の証し、湯畑の近くでは昔なが

 

らの「湯揉み」興行が行われている。長い厚い板を熱泉に差し入れ、そ

 

の板を表、裏と交互に返して湯そのものを攪拌して冷ますものである。

 

湯もみには一般客も参加できるが、小さい子供には重い板は手の負えな

 

い。また、結構疲れが伴うから、ショーを見るだけの方がいいか。

 

 草津の湯は、唄の歌詞には恋のやまい以外は万病に効くとあるが、今

 

どきの若い男女はさして気にしていない。なに、ここで新しく恋を得り

 

ゃいいのよ、ということらしい。

 

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 猛暑日のウオーキングはデパートで冷房効いた全階巡る

 

               (広島市)坂田敏暉

 

 個人やサークルでこれを実施するとなると、理に適っているとは言え

何の知らせもなく売り場のあちこちを半端ないでたちで老幼男女が走り

 

まわるとあれば、デパートの経営者は眉を顰めるにちがいない。そこは

 

談判のしどころというか、相手にもこの企画がウインウインの関係にな

 

りうることを事前に説明し、納得を得なければなるまい。こそこそと一

 

人だけでやるのは勧められない。

 

 

 ★積極的平和なる言葉には大東亜共栄と同じ匂いす

 

                (須賀川市)伊東伸也 

                                                             

 

 ★灼かれ撒かれたあなたの志に会へますか劉暁波氏よ明日は

 

  海の日

             (三島市)福崎享子

                                                                           

             

 

 ★ノーベル賞受賞の空席 空席のままに残して劉暁波氏逝く

 

             (本庄市)福島光良

 

 

 ★受賞者は天安門の犠牲者と遺して逝きし劉暁波氏

 

            (名古屋市)諏訪兼位

 

 

 ★明けぬ夜はなきとぞ思う暁波なる人逝きにけり獄死と言わ

 

  ず

             (福山市)武 暁

 

 

 ★雲行きは怪しけれども我らにはまだ人権が劉暁波死す

 

             (三原市)岡田独甫

 

 

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 ★記録なく記憶もなくば如何にして仕事するらむ内閣官房

 

             (吉野川市)喜島成幸

  

  

 ★十三にてヒバクシャとなり七十余年廃絶を問へど国答へ

 

  ざり

             (浜松市)松井 恵  

 

 

    朝日歌壇 2017.8.14

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  傘寿越す兄弟集ふランチ会昔の五歳を七歳は笑ふ

 

                   (町田市)高梨守道

 

 傘寿(80歳)を超す兄弟の賀の祝いが目出度く行われている。兄弟

 

のお歳はどうやら兄八十七歳、弟八十歳であろうか。こういう会はな

 

べく早く挙行したほうがいいとして、本日のランチ会が持たれた。

 

 ところが兄者は矍鑠しすぎて、挨拶を独占。後から生まれてきた弟の

 

幼時の振る舞いや失策の数々を皆に披露して、参会者の爆笑を誘ったか

 

らたまらない。弟君から「おれの話すことがないじゃないか」と抗議も

 

たが、ここでも兄者は「俺の葬式の時には独占させてやるよ」と一蹴。

 

 とまあ、仲がいいお二人の傘寿を祝うランチ会はつつがなくお開きに

 

なりました。兄弟そろって傘寿を迎えるランチ会。この家系の優れた長

 

命DNAが綺羅星のごとく並ぶランチ会の凄さ。この家系のゆったりと

 

した幸せを心からお祝いしたい。

 

 

 ゲートルを巻きて炭焼きに行きし父長き休暇としての戦争

 

               (佐渡市)小林俊之

 

 

 戦友の死のおおかたは餓死なりと伝えし人も老いて逝き

 

 たり

             (津市)塩地慎介

 

 

 

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  此処だけは時間が止まっているみたい君と別れたコーヒー

 

   ショップ            

              (八幡浜市)大下まゆみ

 

 このコーヒ店の前に来ると(または店内に入ると)君と別れたあの日

 

のことが始めから終りまで、一幅の巻絵を見るように、ゆるゆると再現

 

することができる。いつ来ても、その凝縮された過去と会えるというの

 

は、あの恋を忘れたくない、留めておきたい、とする脳の指令があるか

 

らであろう。

 

                                                                                                                                                                           

 丁寧に真摯に説明すると謂ふ記録と記憶は無いと言ひつつ

 

               (神栖市)寺崎 尚

 

 

  空高くピチュルピチュルと揚げ雲雀塒に帰る鷺の上飛ぶ

 

               (つくば市)高力栄子

 

 ピーチクパーチクが定番化した雲雀の鳴き声のようだが、そのほかに

 

鳴き声を模するものがあってもいい。ここではピチュルピチュルが使わ

 

れ清新な印象を与えている。塒に帰る鷺が下を通り過ぎても、ひばりは

 

そのまま高空に止まってピチュルピチュルと囀っている。

 

 

         66-IMG_0134.jpg       

 

                

 

              ( 続く) → NO.371-2

 

 

 

      URL: http://columneye.blog.so-net.ne.jp/

     

      随想コラム [目を光らせて]so-netブログ

     
      e‐mailhiko@yc5.so-net.ne.jp

                   

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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371-2 [文芸(短歌・俳句) 時事]

    ブログ NO.371 から続く。

  「朝日歌壇・朝日俳壇」から 随想コラム 「目を光らせて」 NO.371-2

      歌壇 期間 2017.8.21~8.28

   朝日歌壇 2017.8.21

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                 らん 日本国際らん展  (aou.hiko)                      

 短歌なんかやめてしまえと上司言いき「なんか」谺す夜更

 けの河に           (名古屋市)長尾幹也

 配転されて地方に来た彼はなにかと上司と反りが合わない。時には派

 

手に言い争いをする。彼は短歌を生甲斐にしているが、上司は短歌なん

 

かやめてしまえ、と放言する。往々にして、他人の趣味や求道を理解で

 

きず、ただただ排斥する輩がいる。無教養の極の類であるが、それを平

 

気で雑言される身になると、その神経がか細いこともあって、真剣に受

 

け止める。ショックともいえる{なんか}を忘れようと、夜更けに近く

 

の河原に出てみたが、とてもとても忘れようがない。その言葉が大きく

 

谺しつづける。 

            

 

 ★はみな嘘混じるとき目が泳ぐ前次官のみ正面睨む

 

             (埼玉県島村久夫

 

 

 ★若和尚我から引き継ぎ原爆の投下時刻に寺の鐘つく

 

         (三原市)岡田独

 

 

 竹やりを皆で作りし日のありき「私がまもる」と総理

 

  言う国 

               (相模原市)日野 一

 

 

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 新しき菜箸下す米寿の日 夫と二人の朝餉善しとす

 

              (川崎市)佐伯恵子

 

 折から国会が解散されて「立憲民主党」ができたが、その党首が「真

 

っ当な政治を」と叫んでいる。党是として広く迎え入れられるかには不

 

安が残るが。さて、この歌をみて感じるところあり。このお二人(夫は

 

既に)めでたく米寿を迎えられた。夫人はこの日を記念して、台所で料

 

理を作る菜箸を新しいものに替えられ(おろされ)その箸で二人の朝食

 

を整えられた。そして言われる。このような生活が真っ当な生活という

 

ものですよ、私たち夫婦はこの道を取り、辿ってきたことを誇りにして

 

おります。

 

 真っ当な ;(社会的に)まともに、ちゃんとした、適切な・・。

 

         真っ当なふるまい「暮らし」をして;

        on the straight and narrow way [path]

 

          (通例 be, keep の後に用いる。) 広辞苑(和英)

 

               

  国会で嘘を言わない人は誰わが読心術に頼るほかなし

 

            埼玉県小林淳子

 

 国会でしゃべる議員や参考人たちの言辞はみな嘘だらけ。信用できる

 

のはわが読心術のみ。まったく困ったものですね。

 

 

 肯定も否定もしない官僚の「記憶にない」が記憶に残る

 

                (柏市)菅谷 修

 

 

 幼子が母を見上げるその度の空気の肌理のやわらかいこと

 

                (札幌市)森越裕里

 

 幼子とその母がごく近いところにいる。子は何かを求めて母を見上げ

 

る。母はそれに応えて身をかがめて手を伸ばす。この二つの存在がある

 

だけで場は和むのに、傍から見守る人の目には二人はごくごく肌理の柔

 

らかい空気に包まれているように感じられる。幼子を育てる母が持つ圧

 

倒的に濃密な厚い愛情のオブラートに包まれて。

 

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 大空襲・特攻・沖縄・原爆死 罪なき人の命し無残

 

           (アメリカ)大竹幾久子

 

 

 菩提寺の兵士の墓の碑文読む若者だけがに戦死している

 

               (三郷市)木村義

 

 

 慰安婦とされし少女の像かなし憎しみ煽る企みかなし

 

               (名古屋市)能登正嗣

 


    朝日歌壇 2017.8.28

            

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 死ぬときはどうでもいいといふやうに蝉のかたちは土に

 

 近づく                      

                 (生駒市)土岡暎雄

                   

 秋の終りを迎える路傍には、盛夏を通じて懸命に啼き仕切ったオスの

 

蝉の死骸があちこちに見受けられる。昆虫の形としては実に優雅な美し

 

い形状で、盛夏の王としての鳴き声であたりを睥睨、制圧したことだっ

 

たが、ある日、ボトリと枝を離れ墜ちた。もう動かない。風の吹くごと

 

に、隅に吹き寄せられて、今日はもう土塊のそばだ。蟻の出動も今日あ

 

たりからはじまるのか。

 

 

 日盛りの午後の静けさセリセリと紫蘇の葉を食む小さな

 

 飛蝗 

                (越谷市)黒田祐花

 

 ここでも、小動物のバッタがセリセリと音を立ててシソの葉

 

を食む情景が歌われている。細かい観察がなされている。

 

 

 核のゴミの処分場適地公表さる「科学」の向こうの過疎

  交付金

               (橿原市)福田示知恵

 

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 酒は好き?煙草は吸うの?男は好き?いきなり聞かれた君

 

 との出会い  

          (桐生市)久保塚文子

 

 彼に会った時、続けざまにこんな質問をされたそうな。立て続けにで

 

はないらしいが、初めて事務的に聞きたいことを重点的に総ざらいした

 

といえようか。一方的に相手の手に乗らず、こちらからも同じ質問をし

 

て、やり込める手もあっただろうが、近ごろの若者気質が窺われて面白

 

かった。

 

男からズバリ訊かれた。私の答は;酒 好きよ。煙草 吸わない。男

 

好きよ。とあたりさわりのない返事をしたつもりだった。

 

 私も逆に訊いてやった。酒への答;へべれけ。煙草 もくもく 女

 

それはもう。 と、手練れた返事が返ってきた。

 

 もっと深耕質問に​移る?とわたしが言ったら、シンコー?「親交」

 

の方?というから、チャウ、深く耕す方、と言ったら首をひねってね。

 

しばらくして「君への答の一つを取り消す」というから「それなによ

 

と気色ばむとね。「女のところ。それはもう。を取り消す」「ほう、そ

 

れで?」「女;君だけが好き」に決然と変更する。と本気顔で。

 

私さんは、「再びの変更はコンリンザイなしですよ、いいですね!」と

 

決然と言い放った。

 

 

 ★核兵器禁止条約回避してどの面下げて原爆忌の客

 

            (水戸市)中原千絵子

 

 

 HIBAKUSHA と初めて記されし条約の批准果たせぬ

 

 この国の夏

            (長野県)井上孝行

 

 

 

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 祖母と母はや明らかに区別せり甘ゆるときの一歳の児は

 

             (茅ヶ崎市)若林禎子

 

 幼子は同性の祖母と母をどのように区別するのか? それは大好きな

 

母乳をくれるのが片肌脱ぎで与えてくれる母親、その体温と匂い。これ

 

だけで十分だろう。残念ながら、おばあちゃんにはこれらはない。

 

 

 ★変わり者が先駆者となる例もあれば残しておきたし九条

 

 だけは

            (愛知県)関谷道雄

 

 

 ★灰になるもあなたを抱擁するという灰は撒かれたり国

 

 意思にて

            (東京都)羽場百合子

 

 

 ★内容のない反省は反省といはずにそれはごまかしといふ

 

            (入間市)有賀政夫

 

                                  


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370  山百合を山ごと負うて妻の墓 [文芸(短歌・俳句) 時事]

 

  随想コラム「目を光らせて」NO.370「朝日歌壇・朝日俳壇から」

 

        俳壇 期間 2017.~731

 

  

        山百合を山ごと負うて妻の墓

 

 

       題 目:

   朝日新聞(20110)(群馬県東吾妻町)酒井大岳入選作。

                 アオウ ヒコ

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     洋画家 青沼茜雲 の作品集から。33古代の雄「若き日の磐井」

          ・英国ロイヤルアカデミー名誉会員

                                  フランス・サロン・トンヌ会

                                  ・ノーベルノルウエー財団認定作家     

                     ・世界芸術遺産認定作家 ・日展所属  

 

 

                          

        「朝日歌壇・朝日俳壇から」 

  朝日新聞の歌壇・俳壇の入選作の中から最新の世相を鋭く切り取った

 

 作品を新た選び、コメントを付けています。コメントは文芸上の範を

 

 超えることがあります。

 

  作品の頭に印が付いている作品は、時の政権が推進る前のめり

 

 右傾化路線平和憲法を無視し、国会の存在をないがしろにするさまを

 

 危惧する市民の投稿になるものです。これらの作品は、ここでは個々の

 

 作品の文芸上の軽重を問うことなく、注目すべき最新の世相を凝縮した

 

 作品として、そのすべてを採録しています。

 

  これらの作品に対しては、投稿者の真摯な叫びに読者の耳、素直に従

 

 うべしとして、コメントはつけておません。

 

  また、文中敬称は省略しております。(筆者)

 


     朝日 2017

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新狭山団地の夏祭り 8月27日 曇天。 昨年は夕立にやられた。

                                                                                                                                                                                                                             

 ★蟻の群共謀罪を疑われ  

             

                (八千代市)川原文男

            

 

 死に際の母の希いし心太

 

                (町田市)佐藤隆市

 

 現実の場面として臨終の場を思いやる。「お母さん、何か欲しいもの

 

ありますか?」そう訊かれて母はか細い声で「ところてん」と答える。

 

看取りの最後に集まっていた親族たちに動揺が走る。「水じゃないのか」

 

「と言われてもなあ、急には」。孫の一人が「おれ、病院の食堂かコン

 

ビニに行ってみるわ」とさっと席を立つ。さあ、どうなったことやら。

 

「欲しいならそう前から言ってほしいよなあ」とは腰の重い親戚連中の。

 

                                                                                                                                    

 足音に水の沸き立つ鰻桶

 

              (枚方市)嶋林岳紹

 

 土曜の丑の日ちかくともなれば、鰻屋には多数の鰻を入れた鰻桶がい

 

くつも並ぶのだろう。焼くのも忙しいが、捌くのもこれまた忙しい。鰻

 

桶が置かれた土間は静かなものだが、ここに鰻を捌くお兄イの忙しいい

 

足音がするなり、数百匹もの鰻を容れた水桶が急に沸き立つというのだ。

 

次に捌かれるのはおいら達の桶だぞ、と動揺しているらしい。

 

   

 麦熟る広野の倉や婚の宴

 

           (ドイツ)ハルツオーク洋子

 

 この頃になるとドイツの広野の麦が熟れて収穫の時季を迎える。また

 

この季には、婚儀の宴があちこちで賑やかに行われる。洋子さんはそれ

 

遠くから眺めているのか。または、大きな倉の内や外で開かれた披露

 

宴に招かれているのかもしれない。

 

 

 

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                      息も合う三連太鼓

 

 

 ビル風に燕のごとき黒揚羽

 

             (熊谷市)時田幻椏

 

 建て込んだビル間を吹く風は、相当な強さと速さで吹きすぎるものだ。

 

そのビル風の中、黒揚羽が燕のような勢いで飛んでいった。どこかに叩

 

きつけられるのではないかと心配しておいでのようだが、その心配は無

 

用だ。クロアゲハは本当に頑強な体躯に恵まれている。

 

 

 退屈は人間のもの蟻地獄

 

             (秋田市)中村榮一

 

 蟻地獄の巣というか、仕掛けを発見すると、わざわざ蟻や小さい昆虫

 

を捕まえてきて、巣穴に流し込む人がいる。これから起きる地獄図を見

 

よう、楽しもうとするのだ。この姿を見ていると、ああ、退屈は人間の

 

ものかいな、と呆れてしまうことだ。

 

 

 ★核兵器廃絶のデモ梅雨の星

  

             (埼玉県宮代町)酒井忠正

 

 ★南(みんなみ)の孤島が墓標六月来 

 

             (桑名市)藤井シゲ子

 

 

 

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                 なによりも姿勢のいいバチ捌き

   

        

 

 風鈴の修羅から一つ選びけり

 

               (日光市)渡辺全朗

 

 風鈴を創る職人は、それぞれに風鈴の外貌と鳴り音の創造に腐心する

 

ようだ。風鈴市に脚を運んで、我は我なりに、その修羅の内から、気に

 

入った風鈴一個を選んだ。我が家に吊るしてみて、二つの修羅が合致し

 

ているのに、甚く満足した。

 

 

 草刈り女脚は白いと見せてをり

 

               (長浜市)雨森多鶴

 

 草刈り女を見る視点は、下から後ろからである。見せる相手は男衆め

 

にである。あたし白いでしょ、色っぽいでしょと。脚とは踝から膝の下

 

まで。鎌で草を刈る時間を通してこの部所は常時露出しているのよ、と

 

の親切な情報の開陳。

 

 


        日俳壇 2017.7.1

 

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                  盆踊りで身体を動かそうぜと。

  山百合を山ごと負うて妻の墓

 

               群馬県東吾妻町酒井大岳

 

 妻の墓は山百合が沢山咲く山にあります。の意であるが、この句にも

 

今は亡き妻への尽きぬ思いが溢れんばかりに、籠められている。

 

 多くの花をつける山百合の芳香に抱かれた山をそっくり負ぶって鎮も

 

る妻の墓。美しかった妻にふさわしい山百合よ、山を覆うばかりに殖え

数多の花をつけ、噎ぶ芳香に亡き妻を包んでおくれ、とする想いが込め

 

られている。 

         

 

 雲の峰昭和に飢えという記憶

 

               日立市)国分貴博

 九条抱き締め茅の輪くぐりけり

 

                (前橋市)荻原大空 

 為政者の驕り露見や青嵐          

                 (野洲市)深田清志

                                                                                                                                                                           

 反故にする約束一つ沖縄忌

                 東京都野上 卓

 

 沈黙にただちかづかん古浴衣 

        

                  (広島市)茶屋七軒

         

 

 早苗田の一日毎の青さかな

               (前橋市)荻原葉月

 

 稲作農家は田植を終わると、おそらく出穂までの毎日をこうして青田

 

観察を続け、たゆみない青田成長に生甲斐を感じるのであろう。出穂か

 

ら稔りまでの間には、稲作への最大のリスク台風に始まり、多雨、冷温

 

などが待ち構える。これを無事に切り抜ければ渇仰の豊作が待っている。

 

 

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                     色を合わせたか和洋が踊る

 

          

 鷺草の鷺は巣立ちの時を得ず

 

             (岐阜県揖斐川町)野原 武

 

 名に負いし鷺草の鷺よ、いつ巣立ちの時を迎えるのかね?と飛翔訓練

 

を始めた鷺草の白鷺に問いかける人も多かろう。鷺草の祖はいつの頃、

 

空翔ける白鷺の姿を自らの草の茎の先尖に花とすることを決め、その改

 

良に営々とした努力を重ねてきたことか。その執念の強さがいつまでも

 

鷺の巣立ちを遅らせて、ついに巣立ちの時を得ずとなり申した。

 

 

        朝日俳壇 2017.7.17

 

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      じいっと観察するのも大切です。

                                    

 沖縄は今日も盾なり慰霊の日

 

                   (佐久市)鶴岡木葉

  ★福島の責任取らず蝉の殻

 

              (福島県伊達市)佐藤 茂

 

             

 

 

 蝉落ちて地は喝采の蟻の列 

                (東京都)朝田冬舟

 

 「おーい、ここにも落ちているぞよー」と発見蟻は仲間に蝉の骸の在

 

りかを伝達。それを聞いた蟻は「喝采、喝采」(と称呼し合って)「仲

 

間と行くべえ」と骸解体と輸送チームが編成されて、延々長蛇の列が出

 

来た。

 

 

 吾の腎ひとつ親父に返し夏

 

               (河内長野市)西森正治

 

 親父が腎を損ねた。透析にならぬためには生腎を供給してやらねばな

 

らない。市場で求めるわけにはいかないから、供給先は限られる。家族

 

または親族の中から健康な個体を保持している人が提供者候補としてリ

 

ストアップされる。人は自分の臓器を進んで他人に提供するいわれはな

 

い。人の臓器は(全てがそうではないが)万一の際に備えて、自らの命

 

を繋ぐために代替できるようにスペアが用意されている。

 

 息子の我、考えてみれば、その臓器は父母の臓器から出来ていると言

 

えなくもない。白羽の矢が立つのは致し方ない。そこで、予備の一つを

 

父に差し上げることにしようと、渋々納得した。今年の夏はその儀式が

 

行われた記念すべき年となる。

 

                ■ 続く → NO.370-2

 

 

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       22-151105 からすうり    酒井 健 

 

 

              (2017.10.01)  

 

 

 

 

 

 

 


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370-2  合歓の花暮れ逝く山を優しゆうす [文芸(短歌・俳句) 時事]

 

 随想コラム「目を光らせて」NO.370-2「朝日歌壇・朝日俳壇から」

 

 

       俳壇 期間 2017.731

 

  

       合歓の花暮れ行く山を優しゆうす

 

     題 目:

     朝日新聞(201.31)(尼崎市)田中節夫入選作。

               

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  8月22~23日、妻と娘と3人で伊香保温泉「福一」に一泊旅行をした。車を買
  い替えたのでお披露目したい、どこか温泉に行きましょう、というので、伊香保の
  「福一」に宿をとった。当日は気圧配置が乱調で、夕べにかけて雹も混じるスコー
  ルに襲われて、榛名神社や榛名湖の散策はままならず、雷雨の中をほうほうの体で
  宿の車寄せに駆け込んだ。雨にたたられて広いロビイも閑散としていた。
   宿はつい最近大幅に改装したとかで、一流ホテルのたたずまい。連れもこれには
  予期しない思いであったらしい。翌日は一転快晴に恵まれ、伊香保近郷の名所の幾
  つかをめぐった。この日は甲子園の野球決勝戦の日。埼玉代表が勝利したので、幾
  たび快哉を叫んだことか。
   文中に、立ち寄ったいくつかの写真を載せる。おいしいうどんをてんぷらなしの
  大盛りで賞味した。                    アオウヒコ

   

          朝日俳壇 2017.7.17

            

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秋近しを思わせる花活けが垂直に立っている

                

 

  

   諷詠の行き着く先は遍路かな

 

                (藤沢市)細井華人

 

 家に籠って短歌や俳句を作るとなると、題材が限られて優れた作品に

 

仕上げることが難しくなりがち。となると、外に出かけて新しい風物や

 

人物に出会えれば、新しい道が開けるのではないか。そうだ、あの空海

 

の修行の遺跡である四国八十八か所の霊場を巡拝する「遍路」。あのお

 

遍路さんになるのも一案だぞ、と思い巡らしている。

 

 

   存(ながら)へて煮たり焼いたりなすびかな

 

                     (岐阜市)阿部恭久

 

 永らえるためには日々の食事が大切だ。夏の野菜の茄子など、煮たり

 

焼いたりしてよくたべてきたものだ。これまで永らえてきたのはなすび

 

であるとすれば、これからもなすびからは離れられそうにない。

 

 

 

   かつて男かつて女の夕涼み

 

                (福岡市)杉野順子

 

 かつてお互いに若い頃、とある男と女がどこかで夕涼みをすれば、何

 

かがきるよと蔭口された。だが歳月を経て、共にかつての若さを失っ

 

た男と女が夕涼みに出ても、心配ない、何も起きないよ、と断じられる

 

のはことのほか淋しい。かといって、それになんら反論しないと言うの

 

は、かつて男かつて女の沽券にかかわるじゃありませんか。ここは一つ

 

涼しい中に二人の熱さを冷ます寄り道もいいじゃありませんか。

 

 

               

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水沢観音は多くの信者を集めている

 

 

 

   風鈴に深き眠りのありにけり

 

              群馬県東吾妻町)酒井大

 

 風鈴屋が修羅を尽くして作ったという風鈴を一個、店で贖い、庭の廊

 

に吊るしておいた。風鈴は風立つにつれ、おしゃべりや囁きまで、それ

 

なりの音を立て、私の耳元にとどけてくれた。

 

 あるとき、風はあるのに風鈴の音がしない、鳴らない時があるのに気

 

付いた。妻が亡くなって暫らく経った午後のことだった。いつもは微風

 

を受けても、風鈴は鳴った。台風前夜にはそれこそ気忙しく鳴り響いた。

 

その時に気付いた。風鈴の音を介して妻は私と話しをしている。私を見守って

 

いる。風鈴の音は彼女の声だった。

 

 今、そよ風が流れる初夏の昼過ぎである。風鈴が鳴らない。鎮まって

 

いる。遠い空を見上げて、「そうか、何かと忙しいらしいな。今は午睡

 

を取っているらしいな。こちらの風鈴に深い眠りがありましたよ。大切

 

な午睡だ、そっとしておきますよ。心行くまでまどろみたまへ。

 

 

 ★難民を乗せきれぬ船天の川

               (川崎市)多田 敬 

 

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      この観音像の台座を、信者は取っ手を押してぐるりと回したようだった。  

  パソコンを脅かすものはたたがみ

                (東京都)藤森荘吉

 はたたがみ; 霹靂神。ハタハタガミの約。はたたく雷。(広辞苑)

 一天俄かに黒雲現れて、沛然たる豪雨のなかに走る稲妻、轟く雷鳴。

このようなとき、パソコンを操るご仁は何をなすべきか。それは電源を

切りなさいである。そのままにしておれば、雷神の落下によって、パソ

コンやTVに支障が出る惧れがある。はたたがみ(霹靂神)にご用心、

と云われている。

 

  手で掴みとれさう鮎の瀬を探る

 

                      (浜田市)田中青龍

 

 渓流の岸近くに瀬があり、底近くに鮎が多数群れている。手掴み出来

 

そうな鮎の群れ。さすがにそれは出来ぬので、やおら短い鮎竿を出して、

 

瀬を探ってみるか、と楽しさ一杯の鮎師ひとり。

 

 

 

         朝日俳壇 2017.7.24

 

 

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         おみくじには 汝の運勢「広大無辺」なりと書いてあったのかも    

 

 

 

  田も山も昼寝してゐる小さき村

 

              (松戸市)をがわまなぶ

 

 多くの人がいつも行きかう都会の住人が、人口疎密な田舎を訪れて感

 

じることは、人がいない、姿が見えないことに驚きを感じるようだ。

 

「どうしたの、皆昼寝をしているの?」と感じるらしい。鶴瓶の家族に

 

乾杯(NHK)などで、無人の家並みを人を求めて歩き回るシーンによ

 

く出会う、それがこれだ。

 

        

 

  ★敗戦の一句八十一の夏

 

             (川崎市)池田 功

 

    いづれの日にか国に帰らむ生身魂              

 

             豊橋市)河合 清

 

  人魂のやうに鵜篝現れし

               (岩倉市)村瀬みさを

 鵜飼のシーズンには、篝火を舳先に着けた鵜匠の舟を見るために出す

 

涼み船もある。川の中ほど岸に錨を入れ酒食の饗応を受けるうち、日は

 

っぷりと暮れ、川面も暗くなる。そこへ上流から鵜飼舟が姿を見せる。

 

ちょうど人魂のように鵜飼の篝火が見えてきた、とその感懐をのべてい

 

る。さあ、これから鵜匠に細引で操られる鵜が篝火に寄って来る鮎めが

 

けて潜るページエントの始まりだ。岸に舫っていた涼み船もやおら、人

 

魂の方に魅かれていく。

 

 

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 香煙は絶えず立ち昇る。線香に火を点けるタドンコンロの備えもありて

                

 

 

   あの岩に新たな鮑毎年よ

            (長崎県小値賀町

 海女たちが苫屋で、潜った漁場の様を話題にしている。あの岩へ行け

ば、大きな鮑に出会うのよ、それも毎年よ。「それどこ、どこ?」と他

の海女が訊くこともなく、プランクトンに恵まれた豊かな 漁場で

 

   鵜篝や悲しきことを美しく

                 (向日市)松重幹雄

 鵜の立場からすると、篝火に集まった鮎めがけて潜り、口に咥えても

匠から細引きを手繰られて、喉をクイッと抑えられれば口腔内の鮎を

出さずにはおられない。その悲しい繰り返しである。しかし、観光

客のには外から鵜篝は川面に映えてとても美しく見える。

  ★昼寝覚め子に赤紙の来てをらず

 

               (前橋市)荻原葉月

 

 

  忘るるは呆けるに非ず只涼し

 

               (高崎市)山本春樹

 

 高齢になると、何かと物忘れするようになる。人はこれを「呆け

る」というようだが、そうじゃありません。ただ、頭の中の風通しが良

くなったというか、涼しい感じはしますね。

 

  入選の一句記せる扇かな

 

                (伊万里市)田中南国

 

 「素敵な扇子をお持ちで」と声が掛かる。「お気付きでしたか」と誘

うと「賛がありますね」と顔を寄せてくる。「これこれしかじかの俳壇

コンテストの入選句ですよ」「ほう、達筆でもいらっしゃる。なんて書

いてあります?」「入選の一句記せる扇かな・・・ですよ」「おー、こ

れはたちまち涼しくなりますね。」と、判っているのか、ないのか。

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水沢観音は近時の彫琢か、どれもこれも美しい

               

  ★核なくせ灼けて丸山定夫の碑

            (相模原市)柴岡友衛

 

  ★ヒアリ来る地球はますます炎えてくる

            (横須賀市)友松 茂

  ★政(まつりごと)泰山木をひと目見よ

              (東京都)三輪 憲

  ★撤回の言葉に落ちよはたた神

                (東京都)無京水彦  + 

 

        朝日俳壇 2017.7.31

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    この辺り豪勢な造りの「水沢うどん」店が櫛比しメニューも多彩、姸を競っている。    

 

    空蝉や人は脱皮を繰り返し

              (本巣市)清水宏

 いいですか、蝉はただ一回だけ脱皮して生涯を終える。それにひきか

え、人はどうでしょう。何度も何度も飽かず繰り返して脱皮し続けじゃ

りませんか。覚悟を決めなさい。蝉に倣って。ああ、その日から地球

の殻の表面には脱皮し損ねたヒトの骸、空蝉ならぬ「空人」が累々、延

々と転がっているでしょうね。

  雷神に鯱(しゃちほこ)喰われ犬山城

               (尼崎市)橋本絹子

 

 犬山城のてっぺんに据えてあった鯱に雷が落ちて損傷した。雷神に喰

われた、ともっぱらの評判です。

   蝉生る白き天使のごとき翅

 

             (泉大津市)多田羅初美

 

 夏の朝か夕刻、7年間の地中生活を経て、ようやく地球の表皮に這い

上がった土蝉(幼虫)はそこらの樹木や建物など足がかりの良いものに

足爪を固めて晴の脱皮作業を開始する。この場面に出合った人は蝉の生

命誕生の神秘に触れて、脱皮が終わるまでそこから離れがたい時間とな

る。脱皮の仕上げは折畳まれていた弱弱しい翅が地球の涼風空に触れて、

第に伸びてシャンと硬まるまでの過程。天使のごとき翅が讃嘆の境地

へと誘う

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       天麩羅の奥の三角笊に盛られているのが水沢うどん。太い。     

 

   合歓の花暮れ行く山を優しゆうす

                  (尼崎市)田中節夫 

 この合歓の花が咲いていなかったならば、この暮れ行く山に何の取

も趣向もなかった。この合歓の花が何でもないこの山を優しい雰囲気

包み込んで行ってくれた。短形文字による表現の一つとして、この「優

しゆうす」の包容力の大きさには、比類なき洗練された表現として記憶

されていい。やさしくて柔らかな京言葉のどこかに通じるものがある。

 

   雨の日の棺にひとつパナマ帽

                  (明石市)江尻順子

 

 葬儀ががあって、出棺前の故人とのお別れに、お花を供えに近づかれ

たのであろうか。ふと見ると、お棺の中にパナマ帽がひとつ入れてある

その日は生憎雨の日の葬祭だったが、雨が上がったら、これをかぶって

元気だったころのように、都会の鋪道や野山を闊歩して頂戴とするのだ

ろう。モダンなお人だったようだ。

 

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榛名神社の山門。これをくぐって、まもなく、雷雨になり、車に戻った。

                     

 

  冷酒(ひやざけ)と冷酒(れいしゅ)の違い談論す

              (横浜市)犬山達四郎

 酒飲みはいろいろな趣向で酒を嗜む。「熱燗にしますか、温めのお酒

にしますか」の対極は何もしないお酒(ひや)であり、常温の酒を指す

冷酒は仕込みの過程はさておき、物流に乗る時点から店頭で酒飲みの手

に渡るまで、冷蔵環境の内に収蔵されるため、その分コスト増。冷蔵の

手間がかかる分販売価格は割高になるようだ。

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欄干の下を流れる細流がみるみる膨れ上がって渦巻いた。

 酒飲みは自分の飲み方が一番と思っているが大吟醸を熱燗で飲む酒仙

もいて、酒席での酒談義などいい加減なものだ。酒を楽しむ方法の粋は

純米酒以上の酒を買い、徳利でもいい、ガラス器でもいい、小分けして

氷を水に入れた桶(容器)に突っ込んでキリキリに冷やして、これまた

冷やしておいた酒盃で飲む。これに勝る飲み方はないだろう。

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            14-150802 スイス ベルン

                  ピンク薔薇  酒井 健 

 

               (2017.10.01)

                  


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369 こでまりの花咲く寺のやさしさよ良寛禅師の眠る墓訪ふ [文芸(短歌・俳句) 時事]

 


     

     随想コラム「目を光らせて」NO.36 「朝日歌壇・朝日俳壇から」

 

        歌壇 期間 2017..2

 

  

           こでまりの花咲く寺のやさしさよ良寛禅師

 

   眠る墓訪ふ

 

     題 目:

     朝日新聞(201.5)(越前市)内藤丈子入選作。



                アオウ ヒコ

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     洋画家 青沼茜雲 の作品集から。 32. 「いにしえの夢」

          フランスサロン・・トンヌ会員

          ・ノーベルノルウエー財団認定作家     

          ・世界芸術遺産認定作家

 

         ・日展所属  

 

 

                       

       「朝日歌壇・朝日俳壇から」 

朝日新聞の歌壇・俳壇の入選作の中から最新の世相を鋭く切り取った作品

 

を新た選び、コメントを付けています。コメントは文芸上の範を超える

 

ことがあります。作品の頭に印が付いている作品は、時の政権が推進

 

る前のめり右傾化路線平和憲法を無視し、国会の存在をないがしろに

 

するさまを危惧する市民の投稿になるものです。これらの作品は、ここで

 

は個々の作品の文芸上の軽重を問うことなく、注目すべき最新の世相を凝

 

縮した作品として、そのすべてを採録しています。

 

 これらの作品に対しては、投稿者の真摯な叫びに読者の耳、素直に従

 

べしとして、コメントはつけておりません。

 

 また、文中敬称は省略しております。(筆者)

 



      朝日壇 2017

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  8月23日、伊香保温泉の帰りに「ハラ ミュージアム アーク」へ立ち寄る。

  今回 NO.369で紹介するのは広大な敷地に建つ美術館の点描です。

                                                                                                                                                                                                                   

   抱き収め君のお骨を膝に置くみどり明るき納骨への道

  

               (三島市)渕野里子

             

 これであなたとは「抱き収め」になりますね。納骨式が終われば後は

 

お墓への納骨、安置になりますからね。膝の温みはこれっきりですよ。

 

車の外を見ると、街路樹は新緑に明るく萌えていますよ。きつい病との

 

明け暮れに、よく頑張ってくれました。私も、ちょっとほっとしてまし

 

てよ。めそめそしないで、明るく生きていくつもり。

 

                                                    

みんなみへ兵の慰霊に来るたびに木彫りの像買う父だと思い

 

             (富士吉田市)萱沼勝由

 

 

 田沢湖におかえりなさい西湖より風光る日にクニマス帰る

 

                (男鹿市)三浦善隆

 

 東北のいくつもの湖では昔から魚が棲まず、これを何とかしようとす

 

る試みがそれぞれになされてきた。よく知られているのが十和田湖養魚

 

の開発者和井内貞行(18581922)によるヒメマスの養殖の成功。一方、

 

田沢湖にはクニマスが棲んでいたが湖に酸性河川水が流入して1940代に

 

絶滅。以後西湖でクニマスの生存が報道され、田沢湖への帰還運動が

 

されていたのか。

 

 どうやら、その帰還運動の実が結び、田沢湖にクニマスが戻ったよう

 

歓んでいる。その日、田沢湖の地元では「クニマスおかえり」「西湖

 

ありがとう」と歓迎一色であったようだ。

 

 

 

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避難地に移転六年閉校とふ母校のニュース訃報のごとし

 

                   (水戸市)紺野告天子

                                                              

 

リハビリの発声にふと言いてみぬ「九条守れ」と験すが如く

 

              (東京都)丸木一磨

 

                                                                           

   はつ夏の若葉かがやくバス停にスマホと同じ数の黙あり

 

              (垂水市)岩元秀人 

 

 初夏のバス停。新緑の中にバス待ちの人が集まっている。昔なら挨拶

 

や世間話に少なからず花が咲いたであろう。だが、バス待ちの客は黙し

 

たまま。手にはそれぞれスマホを持っている。

 

             

 

  辛い時悲しい時も堪えられるうれしい時は友と飲みたい

 

              (三郷市)木村義煕

 

 長いあいだの修練によって、大抵のつらさ、苦しさには他人に知らせ

 

ることもなく、堪えられるようになった。それはまかしておけである。

 

だがなあ、うれしいことができた時は心打ち解けた友人と酒を飲みなが

 

ら話したい。こんなことがあってなあ、この喜びは君にも分けたいのだ。

 

 

 

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  ゆうぐれをおいかけるうち子供らは老いと向き合う年齢となる

 

              (尼崎市)ひじり純子

 

 それは確かにそうだが、幼気な子供たちに、その事実を知らせてどう

 

なる?である。人の一生は短いことをこれまでに古今東西の学者や識者

 

が箴言を重ね、警告を発して来ている。だが、これは蛙の面に水で、い

 

つ本人がそれを感じ取るようになるかは千差万別。早く知ってどうする

遅く知ってどうなる、である。夕暮れを追いかける子供に「時の歩みは

 

早いから」と諭しても「ボクの夕暮れ追いかけっこの速さとどっち?」

 

とちゃかされるがオチであろう。

 

                   

                            

 

 四人の子あれば四人の名を呼ばむ臨命終の時の来たらば

 

             (三原市)岡田独甫

 

 誰を最初に呼ぶか、順位はどうする、程度のことを考えておられるよ

 

うだ。だが、今は四人の子が揃って同時刻に顔をそろえる可能性は低い。

 

また臨命終が来た老衰の極者が前もって考えた口頭での遺言を順序立て

 

て、その場で行いうるか」となると、甚だ疑問である。このために通常

 

作成されるのが「遺言」である。臨命終の内容を前もって盛られたし、

 

である。そうしておけば、いかに老齢極に近く呂律回らずであれど「じ

 

ゃ行くよ、さらばじゃ ありがとう」くらいは口頭でしのげるだろう。

 

 

                 

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 亡き妻のベッドをそっとふりかえる静かな静かな春の夕暮

 

             (さいたま市)阿曽義之

 

 ああ、あそこにいたんだよなあ。今はいない。でも、あそこにいたん

 

だよな。音のしない静かな春の夕暮れに、またしても、妻のベッドを見

 

ためにここを訪れては、静かに納得する。そして、出るときにそっと

 

り返る。いないのは判っているのだが、どうしても振り返る。居てく

 

れたらいいのになあ。

 

 

  的の基地からおよそ五十キロホトトギス鳴く原発予定地

 

                       光市田中 径

 

 

 弾道ミサイル落下時の行動Q&A岩国市報に挟まれ届く

 

             岩国市)木村桂子

 

 

 上空を飛行機雲が交差して共謀罪強行採決の朝

 

          (北広島市)岩瀬義丸 

 

 

 まっ先に狙われるのはほんとうのことを言う人、NOと言

 

  う人            (佐渡市)藍原秋子

 

                                                                                                                                                                            

  焼夷弾で右手を火傷せし伯母の長き戦後もホームに終る

 

               静岡市)堀田 孝

 

 

 

 

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  こでまりの花咲く寺のやさしさよ良寛禅師の眠る墓訪ふ

 

               (越前市)内藤丈子

 

 

 もうこの頃では良寛禅師のお墓詣でをする人はごくごく少なになった

 

ことだろう。だが、良寛の遺徳を偲ぼうとするひとと、まだ覚えてくだ

 

さっているとは、ほんにほんに恐縮至極とする人との交歓が白い小さな

 

こでまりの開花に誘われて。

 

 

  五限目の授業終えたりただ一人頷きくるる生徒を杖に

 

               (可児市)前川泰信

 

 余りバカ受けする授業とは縁のない教師のようだ。今日最後の授業と

 

もなれば、疲れも来るし、早くベルが鳴らないかとする生徒たちの顔が

 

チラチラする。中に一人、頷きながら真剣に授業を聞いて呉れて居る生

 

徒を杖に何とか授業を終える。

 

          

 乳牛の乳房の太さ搾らねば死ぬとう乳房のそのあたたかさ

 

              (佐世保市)近藤福代

 

 これは実際に搾乳を経験した人ではないと、わからない。これを、人

 

の手で搾れというのは実際には酷な仕事であろう。搾乳機を差し込んで

 

スイスイびゅうびゅうとやれば、みるみる乳房はちいさくなるのだろう。

 

 

 

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    もの言わぬ国民なれどもの言えぬ国になりてしまわぬ

 

  ように         (埼玉県)島村久夫

 

 

 「ちょっと来い」呼ばれて初めて分かるだろう「共謀罪」

 

  の空恐ろしさ      (鎌倉市)佐々木 眞

 

 

 歌壇欄も目を付けられておらぬかと恐るる時の来るを

 

  恐るる         (熊本市)垣野俊一郎

 

 

 あぐらかき自浄能力なくせしか森友出ても加計が出ても

 

              (千葉市)鈴木一成

 

 

 ★九条は死文となりてこの国は核に呪われ核に死すかも

             

              (銚子市)網中章夫

 

 

 国民は共謀罪で監視されマイナンバーで括られている

             

               (三郷市)木村義煕

 

 

 

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              つづく → 369-2

 

 

                                                           (2017.9.15)

 

                   

 

 

 

 


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369-2  何の咎の鰯にありやひとつらの<目刺し>に海の群青にじむ [文芸(短歌・俳句) 時事]

  随想コラム「目を光らせて」NO.36-2 「朝日歌壇・朝日俳壇から」

 

      

   何の咎の鰯にありやひとつらの<目刺し>に

 

   海の群青にじむ

 

 

 

                                                                            

       日歌壇 2017.6.19

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 *何の咎の鰯にありやひとつらの〈目刺し〉に海の群青

    にじむ  

               (宝塚市)櫂 裕子

 鰯は海中では個々に生きようとすれば、簡単に捕食されてしまうこと

 

を知っているのか、海洋では多くの仲間が集まり、巨大な塊状の集合体

 

として、上下左右に常に移動、捕捉を狙う鯨や鮫の攻撃に出会っても最

 

小の犠牲で終わるノウハウを確立している。だが、ヒトの知恵に抗しか

 

ね、鰯は塊のまま網でそっくり捕捉されて、ここに無残な眼貫ぬきの極

 

刑として天日に曝されている。そうです、鰯に何の咎がありましょうぞ。

かわいそうにね、と悼んでくれる女系のヒト一人。かの人は一串に連な

 

る目刺しの鰯連に海の群青が残っていますね、と優しげに。

 

            

 

「沖縄の平和運動が真っ先に」と共謀罪を憂ふ意見書

 

               (長野県小林正人

 

 

どうせ駄目 そう言はれてもデモへ行く集会の隅 ひとり分

 

 の声             (長野県)千葉俊彦

 

 

あの行進膝にはよくないだろうなあ北朝鮮の軍事パレード

 

               (大和郡山市)四方 護

 

 

                            

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 ロボットがときどき歩くことがあるつくばの道を行く

 

 我はヒト

             (さいたま市)大久保 歩

 

 

 日本が主として日本の理系の頭脳の精髄を集めて作った学園都市「つ

 

くば」順調に育っているようだ。当時の男女が結婚して生まれた子が双

 

親譲りならぬ超えた才能を持つことが分かって、将来が楽しみだとする

 

見方もある。つくばの道を歩いているとき、やおらロボさんが近づいて

 

きて、「筑波とつくば、どう違います?」と訊かれる日もそう遠くはな

 

い。「それはよ、あんた、かんじとひらがなのちがいよ」とでも答えよ

 

うものなら、「あんたいうんはあっしのことかいね

。ほい、ほい。あん

 

たの返事はな、それにしてもまっとうな返事にゃなっておらんがの。ま

 

あまあ、ヨカタイ。ヒトさん、またたのんまっさ」とヒトさんがロボさ

 

に凌駕されるの図。まあ、我はヒト、俺はヒトと威張りくさることは

 

いが、俺には絶対にロボさんに負けない、凌駕されぬ分野をもちたい

 

のだ。なあ、ヒトさん、どうかの? つくばの道を歩くヒトさん。

 

              

鳩が鳴き蛙が鳴きてヤギが鳴く平和なりけり鳴き声とふは

 

            前橋市)荻原葉月

 

 

 

 

 

       朝日歌壇 2017.6.26

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ゆるゆると人に近寄る戦車見つゆるゆると寄るものの

 

 こわさよ        

            (水戸市)中原千絵子

 

「国民の選んだ政治家しかいない」日本国民黙すほかなく

 

              (霧島市)久野茂樹

 

 

 

 死なせない死ねない時代たらちねの母の呼吸器はずす

 

 夜明けよ         (東京都)無京水彦

                   

 これは「後悔先に立たず」の格言そのもの。20年前に医者に「でき

 

るだけ延命させてつかわさい。」と言ったばっかりに。まさか20年も

 

いのち永らえるとは。だれにでも来る、看取りと看取られ。ここは自然

 

体のイノチへの対処をなされるが大切。その夜明けを後悔なく迎えられ

 

るように格言は喝破している。

 

 

 和太鼓をどんどんカッカと打ち鳴らす白人女性は八十歳とや

  

          (アメリカ)古田パーキンス和子

 

 日本だけじゃない、アメリカにも元気な白人女性がいますよ。体格が

 

いいものだから鳴り響いてね、和太鼓のどんどんカッカが。

 

 

 

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あったことなかったとせし歴史ありたわやすからむ書類

 

 くらいは       (水戸市)中原千絵子

 

 

 弔電を送った後に遠くまで歩いて歩いて偲び続ける

  

          (綾瀬市)小室安弘

 

 あのひとがなくなった。遠方だから、葬儀には出席ができない。こう

 

いう時、とりあえず弔電を打つ。近くの郵便局まででかけて、ありきた

 

りの文面の弔電をうつ。それから歩く。長く歩く。かの人との交友の一

 

つ一つを思い出しては、偲び続ける。あの時、こう言ったが、気を悪く

 

したのではないか、もっとはっきり謝った方がよかったなあ、など長い

 

間のことを歩いて歩いて。

 

 

 ★KYは空気を読めぬ略といふ読み過ぎたればST(忖度)

 

  となる        (村上市)鈴木正芳

 

 

 

 

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                          (2017.9.15)

 

                   

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                        

 

 

 

 

 

 

 

 

 

         

 

 

 

 

 

 

 

 

                   

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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368-1  春愁や八十一のアラン・ドロン [文芸(短歌・俳句) 時事]

   随想コラム「目を光らせて」NO.368-1 「朝日歌壇・朝日俳壇から」

 

        俳壇 期間 2017.11

  

  

        春愁や八十一のアラン・ドロン

 

        題 目:朝日新聞(201鹿児島市

                青野優子氏入選作。

                      アオウ ヒコ

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洋画家 青沼茜雲 の作品集から。31
日本の古典」「雅楽舞」

 フランスサロン・・トンヌ会員

 

        ・ノーベルノルウエー財団認定作家

     

    ・世界芸術遺産認定作家

 

・日展所属    

 

                   

        「朝日歌壇・朝日俳壇から」 

 朝日新聞の歌壇・俳壇の入選作の中から最新の世相を鋭く切り取った

 

品を新た選び、コメントを付けています。コメントは文芸上の範を

 

超えることがあります。作品の頭に印が付いている作品は時の政権が

 

推進前のめり右傾化路線平和憲法を無視し、国会の存在をな

 

いがしろにするさまを危惧する市民の投稿になるものです。これらの作

 

品は、ここでは個々の作品の文芸上の軽重を問うことなく、注目すべき

 

最新の世相を凝縮した作品として、そのすべてを採録しています。

 

 これらの作品に対しては、投稿者の真摯な叫びに読者の耳、素直に従

 

べしとして、コメントはつけておりません。

 

 また、文中敬称は省略しております。(筆者)

 

 

 

 

 

        朝日俳壇 2017

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                    山歩会  T菖蒲園から

                                                                                                                                                                                                                              

  ひかへ目を己が色とし花樗    (合志市)坂田美代子             

 

 若いときから、派手に振舞うことなく、なにごとも控え目にすることに

 

努めてきた。その甲斐あって私が想うあの方とのご縁に恵まれそう。今咲

 

いているゆかしい薄紫色の花樗(はなあうち)の風情の私を好まれたよう

 

に思える。

 

                                                       

  休日はいつも変身草取り女   (福岡市)松尾康乃

 

 この句では惜しいなあ、とするのが草取り女。草刈り女とするところを

間違われて投稿されたのか。草取り女ではどこにでもはびこる雑草を身を

低くして除去する女の謂であるが、その女が休日になるといつも変身して

外に出かける必然性に欠ける。

 一方、草刈り女なら、斜面に高く生えた牧草を、下から順に刈り上げて

牧畜用の干し草ロールの原料を調達する仕事であり、男も女も草場で一緒

に作業する。雑草取りの草取り女と違って、お尻をピンと天に向けて草を

刈る姿勢はなかなかに悩ましいという。

 こちらなら、休日はいつも変身して仲間の相棒に逢いに出かけるとして

も、平仄が合い、おかしくはない。

 

                                   

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  泰山木ただ九条を念じ花     (三郷市)岡崎正宏

 

 

 九条のありて千枚の青田かな(石川県能登町)瀧上裕幸

 

                                                                           

  ピースてふ薔薇よ戦雲払へかし  (大阪市)田島もり

  

 

 原発と同居してゐる暑さかな   (川崎市)池田 功

 

 

             

 

 

 春愁や八十一のアラン・ドロン (鹿児島市)青野優子

 

 春愁(春の日の物憂い感じ。思春期の感傷的な気持ち)と辞書はいう。

 

 おりしも、外電はフランスの男優アラン・ドロンが81歳で引退する

 

ことを伝えた。彼は1935118日生まれ。8歳でのデビュー60周年

 

の引退に際して「もう歳だ!」「あまりにも長く戦うことはない」と

 

言ったと伝えられる。

 

 

 

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 彼を一躍有名にしたのは海と若者を主題にした「太陽がいっぱい」では

 

なかったか。大型帆船を舞台に世界一のハンサム主人公アラン・ドロンが

 

企んだ殺人事件。航海を終えて港に戻り、錨を上げる際に思わぬ証拠が露

 

見したのではなかったか。世界一の男優として君臨して、女優も世界一の

 

ハンサムを放っておかず、お互いの遍歴がつづいてドロンそっくりのイケ

 

メン二世が誕生している。このところ日本ではハンサムという言葉をとん

 

と聞かなくなった。代わりに聞かれるのがイケメン。ちょいとしたイケメ

 

ンはゴロゴロしている。

 

 この句、八十一歳のアラン・ドロンと作者の春愁がどう繋がるのか。

 

「あの若さ溢れる好男子に胸を焦がしてきたのに、彼はもう81歳で引退

 

ですか。私もそろそろ彼の歳に近づく。ああ、いやだいやだ。この世は物

 

憂い感傷に満たされていると言うのか。確かに「物憂い春愁がいっぱい」

 

のこの夏。

 

 

 母の日や記憶の限りははを恋ふ (相模原市)渡辺一充

 

 先国会では、森友、加計、スーダン問題などを巡って官製忖度の有無を

 

巡って激しい与野党間の論争があったが、記憶にない、書類もないなどと

 

ないない尽くしのお粗末でしたが、母の日を迎えたこの息子さんは、自分

 

の頭脳に収蔵されているあらん限りの記憶を辿って「母を恋う」としてい

 

る。奴らとはその気概が違う。

 

 

 解凍の空豆青く目覚めたり    (倉敷市)脊板義郎

 

  野菜、豆類を保存のために冷凍し、あまりその新鮮さには期待をして

 

いなかった。が解凍してびっくり、空豆の青がそのままの青で目覚めてく

 

れたではありませんか。

          



       日俳壇 2017..11

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  黒薔薇といふ赤色の極みかな   (奈良市)名和 佑

 

 わが庭にも通称「黒薔薇」が1本ある。「オクラホマ」という薫り高い

 

大輪種である。育種家が赤色同志を掛け合わせているうちに赤色が深化し

 

て黒味がかった色が発現したようだ。庭でもう40年以上も咲き続け、今

 

では幹の径も5㎝より太く、長さも10m近くにまで伸びていたが今年辺

 

り寿命が来たようだ。惜しい気持ちよりも、ご苦労さんの思いで鋸を入れ

 

た。明るい華やかな薔薇には香りが少ないから、束にするときは引き立て

 

役でもあった。「あら、いい香りだこと」と誰もが褒めてくれた

                     

 

  フクシマの離郷の民や夏寒き   川口市青柳 悠

 

 

  月光を包む黒雲沖縄忌     久喜市)利根川輝紀

 

 

  為政者の戦争ごっこ青葉冷   (霧島市)久野茂樹

                                                                                     

                                                                                         

 沖縄の返還の日なり五月闇   中津川市)大野邦洋

 

 

    戦争をせぬ国なれば白牡丹    (青森市)天童光宏

 

 

 はまなすや今日も沖には空母あり(上野原市)天野昭正

 

 

 俳諧の円座も危うし共謀罪    (横浜市)穴沢秋彦

 

 

 虫の世のアウシュヴィッツよ蟻地獄(大村市)小谷一夫

 

 

               

 

 

 新しき吾のページや更衣   (さいたま市)斎藤紀子

 

 少女期を経て、夏が来て、更衣をするまでになった。確かにこれぞ今ま

 

でとは違う、私の新しいページにちがいありません。とわが成長を祝って。

 

 

 上京の寝台列車明け易し     (諫早市)後藤耕平

 

 この時期、朝早くから明るくなり、連れて人の目覚めも早まることだが

上京のために寝台車に寝ていたとあれば、これは問題なく明け易し、であ

 

る。寝心地は良くなったとはいえ、たまには揺れたり、ブレーキが掛かっ

 

たり、警笛も鳴るだろう。安眠できる状況にはないのだから、朝の目覚め

 

はどうしても早くなる。

 

            (2017.9.1)

 

                               (つづく→ 368-2 )

 



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368-2 亡き妻は美しく生き夏帽子 [文芸(短歌・俳句) 時事]

 

               368-1 から → 368-2

     朝日俳壇 2017.6.19

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 夏に入る生きて過ごせと青虫に (行田市)荻原義久 

 今もキャベツ畑にはモンシロチョウが多数飛びかっているのだろうか。

 

成虫になる前の幼虫が「青虫」である。

 

畑でその青虫を見かけて、思わず声をかけた。「しっかりこの夏、酷暑の

 

なかを生きていけよ。」それは望むところ。そうこなくっちゃ、と青虫は

 

伸び伸び背伸びくねらせて「まもなく蛹、そしてまもなく飛蝶になりまさ

 

あ。ご声援ありがとう」

              

 

 ★戦争は嫌だ嫌だと行々子   (東大阪市渡辺美智子

 

 あの時と同じ知覧の南吹く  (さいたま市)田中彼方

 

 

 

 あじさゐをトイレに吊るす妻娘  (高槻市)吉田 穣

 

 紫陽花の花は青から赤紫変化するところから「七変化」と呼ばれ、それ

 

ぞれの季の花の色を楽しむことができる。

 

この家の母娘はあじさいの花の盛期にこれを切り取り、乾燥花とすれば、

 

この七変化の変化を人工的に楽しめるのではないか、としたのではないか。

 

ただ、5、6本の紫陽花の生花を束ねるとかなり嵩張るため、母娘はその

 

場所をトイレに求めた。

 

 それを見た旦那は「これはなんぞエー」と目を見張ったらしい。おそら

 

く紫陽花は水分を失う過程で七変化とはならず、切り花時の花の色を留め

 

たまま推移したのではなかろうか。

 

             

 更衣四谷の駅は白い波   東京都尾張英二

 

 学生の更衣は制服が冬服から夏服に変わることでも示される。四谷駅界

 

隈には多くの女子高があり、朝夕に登・下校する女子学生の制服の白色に

 

あふれ、白い波が押し寄せたり、退いたりしている。

 

                

 愛すべき言葉飛び交う溝浚へ(山形県河北町)小山田恒吉

 

 ふだんは町人との公式な集まりなどは少ないが、町を流れる水路を清掃

 

する定例の溝浚えには町中の住民がやってくる。

 

 もうこうなると、古くから住む住民同士の会話(愛すべき山形県河北言

 

葉)がポンポンと飛び交う場面となる。話は弾んで、溝浚えの仕事も捗る

 

ということになる。

 

 近く、大学の同窓会(新潟 温海温泉 萬國屋)で山形の友人と会う機

 

会がある。山形弁での具体的なエロキューシヨンのいくつかを仕入れてき

 

たい。九州弁なら、自分で捏造できるんだが。

 

 

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 ★沖縄忌強制集団自決生存者  (石川県能登町)瀧上雄幸

 

 

 

  同級会日傘に入れて貰ひけり  京都市)水船つねあき

 

 あのころ、彼女はマドンナ。話すどころか、近寄ることも憚られた二人

 

の関係。ついぞ、話もできず、手も握らずで、卒業してしまった。

 

 あれから何年経ったか、同級会の知らせがあり参加する旨を返事した。

 

幸い、当日は快晴に恵まれた。会場へのアプローチを歩いていると、不意

 

にマドンナの声が私に降りかかった。

 

「Mさん、こんにちは。暑いですね。お久しぶり。傘に入りません?」

 

あのマドンナからです。否でも応でもいじゃありませんか。「いいんで

 

すか?」「私が是非にと言っているのよ」というわけで、彼女の日傘に入

 

れてもらった幸運児。マドンナとの相合傘。なんと恐ろしくも嬉しかった

 

ことか。盗み見たマドンナの顔の何たる美しさ。もっと、早くに傘に入れ

 

てくれたら、私の人生変わっていたかも。

 

 

 名園の水に育ちてあめんぼう  (熊本市)加藤うゐ

 

 久しぶりに尋ねた名園の水回りの水の清冽さは、声を上げるほどの清澄

 

で私を驚かした。池も、堀も、果ては水盤までも、そこに生きる生物は

 

冽な水との共存状態にある。

 

 さて、ここのあめんぼう、清水ならぬ濁水に育つ同類種とどう違うのか。

 

水に浮かぶ際に脚の尖端がつまむ空気の量に差があり、脚長に差を生じる

 

可能性ありとか。清冽過ぎる環境は必ずしも、生物にとってプラスばかり

 

ではないようである。

 

 

 これ以上深くはなれず茄子の紺  (高槻市)会田仁子

 

 素人には特に茄子の栽培は難しい。手にした茄子の深みある紺色。これ

 

以上の紺色の深化は難しいと思わせるほどの出来。「茄子紺」の極地。

 



 

      朝日俳壇 2017.6.26

 

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  鮎釣りの少し流されまた釣りぬ (摂津市)内山豊子

 

 しばらく鮎釣り師の動きを観察しておられた。流れが強いので釣り師が

 

下にながされ、そこでまた釣り始めた、との報告ですね。いや、最初の底

 

石のあたり探ってみたが当りがない。じゃ少し下流の次の底石の周りの鮎

 

を探ってみましょう、としたわけなんです。ご観察ありがとう。

 

 

  これほどに揃わぬ音色牛蛙  (東村山市)高橋喜和

 

 盛夏の樹木に群れるニイニイ蝉や油蝉の大群。おそらくコンダクター蝉

 

の指揮に随っているのだろう。あるときから、一糸乱れぬ斉唱の音色が続

 

くことである。それに比べて、牛蛙の斉唱はどうか。驚きましたね。これ

 

ほど統制のとれぬ、バラバラもいいとこは牛蛙の斉唱とハーモニイ。

 

 

 夕焼けの今日の一日を惜しみけり (尼崎市)田中節夫

 

 10日ほど前に当地に盛大な夕立ががあり、すぐさま晴れて東側の空に

 

ものの見事な虹がくっきりと鮮やかに掛かっているではないか。

 

この10年ほどこれほど見事な虹にお目にかかったことはない。早速カメ

 

ラを持ち出して数枚撮ったあと「おーい、虹だ、虹だ。すぐ近くの空高く

 

に見えるよ。おーい、虹だ、虹だ。見逃しちゃならぬ見事な虹だよ!」と

 

近隣中に聞こえる大声で呼ばわった。美しい虹だった。(電線が邪魔だね)

 

                

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  噴水や水の命の競い合ふ    (神戸市)岩水ひとみ

 

 噴水ノズルの先端から放出された水は、ポンプの後押しで中空にまで押

 

し上げられている。その先端部で水の命が、俺が俺がと競い合っている。

 

水の命を主題にして、命に競い合せているのは珍しい。

 

              

 

 ★父の日や逝きにし兵の父のこと  (福岡市)藤掛博子

 

 ★政権も徒党に堕すや走り梅雨 (福岡県鞍手町)松野憲珠

 

 ★テロよりも原発怖い梅雨の入り  (長岡京市)寺嶋三郎

 

 

 

 亡き妻は美しく生き夏帽子     (高松市)島田章平

 

 先に奥さんを亡くしたご亭主は、嘗て、季節折々に妻が身に着けていた

 

物を出してみては、これを身に着けていた時のおまえは美しかったな、と

 

在りし日をしみじみと回想する。

 

 夏帽子をかぶったおまえ、すこし蓮っ葉に被り、明るく笑いながら、白

 

い歯を見せて。おう、それよ、あのころは元気にしていたね。うん、おれ

 

も息災にしているよ。淋しくも元気にしている。今年は暑くてね。

 


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367  ムササビもイタチも棲みつく東大寺人も獣も仏の慈悲に [文芸(短歌・俳句) 時事]

   

    随想コラム「目を光らせて」NO.36 「朝日歌壇・朝日俳壇から」

 

      歌壇   期間 2017.5.1~5.29


  

     鼫鼠も鼬鼠も棲みつく東大寺人も獣も

 

    仏の慈悲に

 

  題 目:朝日新聞(201.5.22大津市井上賢三氏の入選作。

                        アオウ ヒコ

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      洋画家 青沼茜雲 の作品集から。 30日本の古典「雅楽舞」

   フランス・サロン・トンヌ会員

   ・ノルウエーノーベル財団認定作家     

   ・世界芸術遺産認定作家・日展所属    

 

        「朝日歌壇・朝日俳壇から」

 朝日新聞の歌壇・俳壇の入選作の中から最新の世相を鋭く切り取った

 

作品を新たに選び、コメントを付けています。コメントは文芸上の範を

 

超えることがあります。

 

 作品の頭に印が付いている作品は、時の政権が推進前のめり

 

右傾化路線平和憲法を無視し、国会の存在をないがしろにするさま

 

を危惧する市民の投稿になるものです。これらの作品は、ここでは個々

 

の作品の文芸上の軽重を問うことなく、注目すべき最新の世相を凝縮し

 

た作品として、そのすべてを採録しています。

 

 これらの作品に対しては、投稿者の真摯な叫びに読者の耳、素直に従

 

うべしとして、コメントはつけておません。

 

 また、文中敬称は省略しております。(筆者)

 

 

       朝日壇 2017.5.1             

                     

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         高橋 敏 (狭山市水彩クラブ)

                                                                                                                                                                            

 浦上の焼けたマリアの目の奥は底のない黒深い悲しみ

                                                                                       

                (いわき市)坂本玄々 

           

 ★美し桜の空を過ごす時シリアの子らの空は空爆

                                                                                  

              広島県府中市)内藤恒子

 

 ★ラジカルに疑えもっとラジカルに人殺す武器なぜにある

    のか                                                                                  

              ひたちなか市)十亀弘史

             

 

      日歌壇 2017.5.7

                       

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               高橋 敏 (狭山市)

                      

  まさかと思っている内に戦争に巻き込まれてる様な錯覚

 

              伊丹市宮川一樹

 

 さく基地の空母は修理中」くつろぎ歩く米兵の群れ

 

              横須賀市梅田悦子

 

 

  空はけざやかにして言葉なし沈む木星昇る金星

 

           神戸市有馬純子

 

 早起きして、朝空の美しさを満喫している。次いで、その目はその季

 

節の天文の星々の位置確認へと向かう。しかるべき位置にその星々があ

 

るのに安堵して朝餉の準備に向かおうとしている。星や月の満ち欠けを

 

生活の一部にしている女性には尊崇の気持ちが湧き上がる。 

 

 

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             高橋 敏 (狭山市)

                                                                                                          

 

                  (2017.8.18)

 

 

                         つづく → 367-2

                                                                                                

                                                                                                                                                                                                                                                                                             

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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367-2  鼫鼠も鼬鼠も棲みつく東大寺人も獣も 仏の慈悲に*    [文芸(短歌・俳句) 時事]

 

 

 

 米作りもうやめたよと言いし友時季来ればまた代搔き始む

 

                (西予市)大和田澄男

 

 永年、営々として米作りにいそしんできた友が、ある日「米作りはや

めた」と言った。だが、苗代の時期が来たら田の代掻きをはじめた。そ

う簡単には身にしみついた稲作の習慣からは逃れられぬようだ。 

 

 初めての百四歳を生きる母看取るわれより辛い顔する

 

            (佐世保市)近藤福代

 

 母御を長い間介護し、看取っておられることは折々の作品から窺い知

れた。が、百四歳と知り思わず声を出し、そのご苦労を思いやった。だ

が、長命の母御は早く逝きたいと思う。なんでかくも長き命を下さるの

か、看取る娘が大変で可哀そうじゃないか、辛いのよ、との表情が。

 

 

 初つばめ南の海を見てきしか岩礁埋めて基地となせしを

 

            (東大和市)板坂壽一

 

 

 恋瀬川すぎれば見える蓮根田水漲り始む土浦は春

 

        (ひたちなか市)富永喜恵子

 

仲間と春のバス旅行を楽しまれたようだ。車窓から次々に飛び込む景

色を見ては手元のガイドブックの地名や農作業のいくつかと照合したり

している。楽しい一日。土浦は春でしたよ。

 

                

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  田起こしの機械の前をただならぬ早さに走る一羽の雲雀

 

               (山形県)佐藤幹夫

 人や獣、鳥など命あるものが形相を変えて、その場に息急き駆けつけ

 

るのは、自らが庇護者であるときに、雛や仔や幼が突然に姿を見せた猛

 

禽、成獣の類に襲われ危殆に瀕するときである。この歌では、ひばりの

 

巣が畑の片隅かどこかで営まれ、中では雛の4,5羽が餌を持ち帰る母

 

鳥を待っている。その畑へ姿を見せたのが猛獣の田起こし機械、エンジ

 

ンのスイッチが入ったときである。はるかに高い天空にいた鳥はすぐさ

 

ま急降下、いったんは地上の畑の畦に降り立つ。ここから自らの巣めが

 

けて、一羽の雲雀がただならぬ速さで猛獣の前を走るのが目撃されたい

 

うのだ。この猛獣は食いつきはしないし、雛を襲うこともないのだが。

 

                 

 

 随想コラム「目を光らせて」NO.367-2 「朝日歌壇・朝日俳壇から」

  歌壇    期間:2017.5.1~5.29 

            鼫鼠も鼬鼠も棲みつく東大寺人も獣も 仏の慈悲に

 

      朝日歌壇 2017.5.22

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 東北のこっちの方から兵士らと米と娘と電気送りし

          

              (南相馬市)斎藤 杏

 

 報道の自由度世界72位小さく伝える知る権利の危機

          

              (埼玉県)島村久夫

 

 鯉のぼり泳ぐ五月の空晴れていづこを行くや

 

  カールビンソン   (長野県)井上孝行 

 

 相場米の水田の上に穀雨降るカール・ビンソン北上

 

  しつつ       (西城市)亀井克礼

 

 手遅れかまだ間に合うか過ちをなぞる政治家選ぶ国民

           

                (東村山市)五十井梧楼

 

 黙深し学園祭に黒ぐろ実物大の原爆模型

         

        (茅ヶ崎市)若林禎子

 

 断捨離と呼ぶほどのものなけれども心の内の雑多に驚く

 

           (東京都)青木公正

 

 断捨離という言葉、だれが始めたかは知らないが物を捨てるのは簡単

 

に見えて心(頭脳)の決定がなければ出来ずの関係にあることに気付い

 

ている。幼児のころから意識的に心に貯め置く知識の容量制限をしていない

 

かぎり、長じて心の中に増え過ぎた雑多を断捨離することは難しい。

 

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 鼫鼠(ムササビ)も鼬鼠(イタチ)も棲みつく東大寺

 

  人も獣も仏の慈悲に

              (大津市)井上賢三

 

 数年前に大学の旧友たちと奈良を旅した折に、東大寺へ真っ先にでか

 

けた。「大仏さんにはこの歳にして初めての出会いだ」と言うと「おい

 

、本当かよ」と信じられない顔。皆はもっと若いうちにここに来るのが

 

普通だと言われた。大仏の巨大なたたずまいに圧倒されて、平伏する

 

のように頭を垂れ続けた。むささびや鼬も頭にはなく、仏の慈悲だけ

 

祈願していた

 

 皆が撫でさすって励ます峠道下りにひるむ盲導犬を

 

           (名古屋市)磯前睦子

 

 盲導犬の種類にもよるのか、峠道の下りに怖気づきひるむ姿があると

聞き、これでは役にたたぬじゃないか、訓練に瑕疵があるのではと慨嘆

した。だが、峠道では皆が「がんばって怖がらないで」と首

 

を撫でて励ましたというから、犬君、元気を出したらしい。

 

 

    朝日歌壇 2017.5.29

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                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                             

 

 「自衛隊があるのになぜ9条がある」とすり替えられゆく

 

   憲法論議        (長野県)小林正人

 

 政治家の決まり文句の粛々と辺野古の海は埋められてゆく

          

               国分寺市田辺龍郎

 

 辺野古をば琵琶湖にたとえ翁長知事「国のためなら埋め立

 

  てるか」と       町田市冨山俊

 

 九条を灯台として暗黒の海を行きかう世界の船が

          

               長崎市牧野弘志

 

 原発のゴミに埋もれる日本を次の世代に引き継ぐ稼働

          

               田代市白濱 馨

 

 憲法が変われば憲法記念日も変わるみなさんそれで

 

  いいのか         国分寺市田辺龍郎

 

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 あなたには幸せになって欲しいから遠くで手を振るだけの

 

  人になる       (高槻市)小野まなび

 

 自分の欲望をひっこめてまでして、友人に結婚相手を譲った、という

 

のか。でも、これをしょっちゅう繰り返していたんじゃあなたは幸せに

 

はなれないじゃないか。譲りまくるのは決して美徳ではない。そんなに

 

は人生に長さがあると思わぬほうがいい。あっという間に歳を重ねて、

 

こんな積もりではなかったに、と臍を噛まぬように近くの人をその手で

 

捕まえることに精を出したらどう。

 

 

オバマ氏の辺にては平和言いし唇今日改憲の期限言いしは

 

           (水戸市)中原千絵子

 

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                

 菜の花へ霞桜へ千曲川蛇行している光を湛え

 

           (熊谷市)内野 修

 

 美しい自然の情景をスケッチするごとく歌に詠む。春の霞が季節の花

 

菜の花から櫻へと移り行き、高所から見る千曲川はゆるゆると蛇行の姿。

 

その景は上から降り注ぐ春の光をいっぱいに受け止めている。明るい穏

 

やかな千曲川の流れをなぞるかに。

 

            (2017.8.19)

 

 

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                

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