So-net無料ブログ作成
検索選択
前の10件 | -

367  ムササビもイタチも棲みつく東大寺人も獣も仏の慈悲に [文芸(短歌・俳句) 時事]

   

    随想コラム「目を光らせて」NO.36 「朝日歌壇・朝日俳壇から」

 

      歌壇   期間 2017.5.1~5.29


  

     鼫鼠も鼬鼠も棲みつく東大寺人も獣も

 

    仏の慈悲に

 

  題 目:朝日新聞(201.5.22大津市井上賢三氏の入選作。

                        アオウ ヒコ

21-DSC_0047.JPG

                

      洋画家 青沼茜雲 の作品集から。 30日本の古典「雅楽舞」

   フランス・サロン・トンヌ会員

   ・ノルウエーノーベル財団認定作家     

   ・世界芸術遺産認定作家・日展所属    

 

        「朝日歌壇・朝日俳壇から」

 朝日新聞の歌壇・俳壇の入選作の中から最新の世相を鋭く切り取った

 

作品を新たに選び、コメントを付けています。コメントは文芸上の範を

 

超えることがあります。

 

 作品の頭に印が付いている作品は、時の政権が推進前のめり

 

右傾化路線平和憲法を無視し、国会の存在をないがしろにするさま

 

を危惧する市民の投稿になるものです。これらの作品は、ここでは個々

 

の作品の文芸上の軽重を問うことなく、注目すべき最新の世相を凝縮し

 

た作品として、そのすべてを採録しています。

 

 これらの作品に対しては、投稿者の真摯な叫びに読者の耳、素直に従

 

うべしとして、コメントはつけておません。

 

 また、文中敬称は省略しております。(筆者)

 

 

       朝日壇 2017.5.1             

                     

20-DSC_0799.JPG
         高橋 敏 (狭山市水彩クラブ)

                                                                                                                                                                            

 浦上の焼けたマリアの目の奥は底のない黒深い悲しみ

                                                                                       

                (いわき市)坂本玄々 

           

 ★美し桜の空を過ごす時シリアの子らの空は空爆

                                                                                  

              広島県府中市)内藤恒子

 

 ★ラジカルに疑えもっとラジカルに人殺す武器なぜにある

    のか                                                                                  

              ひたちなか市)十亀弘史

             

 

      日歌壇 2017.5.7

                       

13-DSC_0792.JPG
               高橋 敏 (狭山市)

                      

  まさかと思っている内に戦争に巻き込まれてる様な錯覚

 

              伊丹市宮川一樹

 

 さく基地の空母は修理中」くつろぎ歩く米兵の群れ

 

              横須賀市梅田悦子

 

 

  空はけざやかにして言葉なし沈む木星昇る金星

 

           神戸市有馬純子

 

 早起きして、朝空の美しさを満喫している。次いで、その目はその季

 

節の天文の星々の位置確認へと向かう。しかるべき位置にその星々があ

 

るのに安堵して朝餉の準備に向かおうとしている。星や月の満ち欠けを

 

生活の一部にしている女性には尊崇の気持ちが湧き上がる。 

 

 

14-DSC_0793.JPG
             高橋 敏 (狭山市)

                                                                                                          

 

                  (2017.8.18)

 

 

                         つづく → 367-2

                                                                                                

                                                                                                                                                                                                                                                                                             

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

367-2  鼫鼠も鼬鼠も棲みつく東大寺人も獣も 仏の慈悲に*    [文芸(短歌・俳句) 時事]

 

 

 

 米作りもうやめたよと言いし友時季来ればまた代搔き始む

 

                (西予市)大和田澄男

 

 永年、営々として米作りにいそしんできた友が、ある日「米作りはや

めた」と言った。だが、苗代の時期が来たら田の代掻きをはじめた。そ

う簡単には身にしみついた稲作の習慣からは逃れられぬようだ。 

 

 初めての百四歳を生きる母看取るわれより辛い顔する

 

            (佐世保市)近藤福代

 

 母御を長い間介護し、看取っておられることは折々の作品から窺い知

れた。が、百四歳と知り思わず声を出し、そのご苦労を思いやった。だ

が、長命の母御は早く逝きたいと思う。なんでかくも長き命を下さるの

か、看取る娘が大変で可哀そうじゃないか、辛いのよ、との表情が。

 

 

 初つばめ南の海を見てきしか岩礁埋めて基地となせしを

 

            (東大和市)板坂壽一

 

 

 恋瀬川すぎれば見える蓮根田水漲り始む土浦は春

 

        (ひたちなか市)富永喜恵子

 

仲間と春のバス旅行を楽しまれたようだ。車窓から次々に飛び込む景

色を見ては手元のガイドブックの地名や農作業のいくつかと照合したり

している。楽しい一日。土浦は春でしたよ。

 

                

11-DSC_0087-001.JPG

 

 

  田起こしの機械の前をただならぬ早さに走る一羽の雲雀

 

               (山形県)佐藤幹夫

 人や獣、鳥など命あるものが形相を変えて、その場に息急き駆けつけ

 

るのは、自らが庇護者であるときに、雛や仔や幼が突然に姿を見せた猛

 

禽、成獣の類に襲われ危殆に瀕するときである。この歌では、ひばりの

 

巣が畑の片隅かどこかで営まれ、中では雛の4,5羽が餌を持ち帰る母

 

鳥を待っている。その畑へ姿を見せたのが猛獣の田起こし機械、エンジ

 

ンのスイッチが入ったときである。はるかに高い天空にいた鳥はすぐさ

 

ま急降下、いったんは地上の畑の畦に降り立つ。ここから自らの巣めが

 

けて、一羽の雲雀がただならぬ速さで猛獣の前を走るのが目撃されたい

 

うのだ。この猛獣は食いつきはしないし、雛を襲うこともないのだが。

 

                 

 

 随想コラム「目を光らせて」NO.367-2 「朝日歌壇・朝日俳壇から」

  歌壇    期間:2017.5.1~5.29 

            鼫鼠も鼬鼠も棲みつく東大寺人も獣も 仏の慈悲に

 

      朝日歌壇 2017.5.22

25-DSC_0109.JPG

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                              

 東北のこっちの方から兵士らと米と娘と電気送りし

          

              (南相馬市)斎藤 杏

 

 報道の自由度世界72位小さく伝える知る権利の危機

          

              (埼玉県)島村久夫

 

 鯉のぼり泳ぐ五月の空晴れていづこを行くや

 

  カールビンソン   (長野県)井上孝行 

 

 相場米の水田の上に穀雨降るカール・ビンソン北上

 

  しつつ       (西城市)亀井克礼

 

 手遅れかまだ間に合うか過ちをなぞる政治家選ぶ国民

           

                (東村山市)五十井梧楼

 

 黙深し学園祭に黒ぐろ実物大の原爆模型

         

        (茅ヶ崎市)若林禎子

 

 断捨離と呼ぶほどのものなけれども心の内の雑多に驚く

 

           (東京都)青木公正

 

 断捨離という言葉、だれが始めたかは知らないが物を捨てるのは簡単

 

に見えて心(頭脳)の決定がなければ出来ずの関係にあることに気付い

 

ている。幼児のころから意識的に心に貯め置く知識の容量制限をしていない

 

かぎり、長じて心の中に増え過ぎた雑多を断捨離することは難しい。

 

02-DSC_0061-001.JPG

                 

 

 鼫鼠(ムササビ)も鼬鼠(イタチ)も棲みつく東大寺

 

  人も獣も仏の慈悲に

              (大津市)井上賢三

 

 数年前に大学の旧友たちと奈良を旅した折に、東大寺へ真っ先にでか

 

けた。「大仏さんにはこの歳にして初めての出会いだ」と言うと「おい

 

、本当かよ」と信じられない顔。皆はもっと若いうちにここに来るのが

 

普通だと言われた。大仏の巨大なたたずまいに圧倒されて、平伏する

 

のように頭を垂れ続けた。むささびや鼬も頭にはなく、仏の慈悲だけ

 

祈願していた

 

 皆が撫でさすって励ます峠道下りにひるむ盲導犬を

 

           (名古屋市)磯前睦子

 

 盲導犬の種類にもよるのか、峠道の下りに怖気づきひるむ姿があると

聞き、これでは役にたたぬじゃないか、訓練に瑕疵があるのではと慨嘆

した。だが、峠道では皆が「がんばって怖がらないで」と首

 

を撫でて励ましたというから、犬君、元気を出したらしい。

 

 

    朝日歌壇 2017.5.29

04-DSC_0068.JPG                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                               

 

 「自衛隊があるのになぜ9条がある」とすり替えられゆく

 

   憲法論議        (長野県)小林正人

 

 政治家の決まり文句の粛々と辺野古の海は埋められてゆく

          

               国分寺市田辺龍郎

 

 辺野古をば琵琶湖にたとえ翁長知事「国のためなら埋め立

 

  てるか」と       町田市冨山俊

 

 九条を灯台として暗黒の海を行きかう世界の船が

          

               長崎市牧野弘志

 

 原発のゴミに埋もれる日本を次の世代に引き継ぐ稼働

          

               田代市白濱 馨

 

 憲法が変われば憲法記念日も変わるみなさんそれで

 

  いいのか         国分寺市田辺龍郎

 

09-DSC_0083.JPG 

 

 

 あなたには幸せになって欲しいから遠くで手を振るだけの

 

  人になる       (高槻市)小野まなび

 

 自分の欲望をひっこめてまでして、友人に結婚相手を譲った、という

 

のか。でも、これをしょっちゅう繰り返していたんじゃあなたは幸せに

 

はなれないじゃないか。譲りまくるのは決して美徳ではない。そんなに

 

は人生に長さがあると思わぬほうがいい。あっという間に歳を重ねて、

 

こんな積もりではなかったに、と臍を噛まぬように近くの人をその手で

 

捕まえることに精を出したらどう。

 

 

オバマ氏の辺にては平和言いし唇今日改憲の期限言いしは

 

           (水戸市)中原千絵子

 

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                

 菜の花へ霞桜へ千曲川蛇行している光を湛え

 

           (熊谷市)内野 修

 

 美しい自然の情景をスケッチするごとく歌に詠む。春の霞が季節の花

 

菜の花から櫻へと移り行き、高所から見る千曲川はゆるゆると蛇行の姿。

 

その景は上から降り注ぐ春の光をいっぱいに受け止めている。明るい穏

 

やかな千曲川の流れをなぞるかに。

 

            (2017.8.19)

 

 

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                

     随想コラム [目を光らせて]so-netブログ 

   URL: http://columneye.blog.so-net.ne.jp/ 
      e‐mailhiko@yc5.so-net.ne.jp

 

 



  

 


nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

366 人類史角番にあり夏に入る [文芸(短歌・俳句) 時事]


                随想コラム「目を光らせて」NO.366「朝日歌壇・朝日俳壇から」 

      俳壇  期間:2017.5.1~5.29               

            人類史角番(かどばん)にあり夏に入
        題 目: 朝日新聞(2017.5.29)(東京都)望月清彦氏の入選作。

                  アオウ ヒコ

35-DSC_0031.JPG


       画像:洋画家 青沼茜雲 の作品集から。    29.「日本の屋根と鳩」

             ・フランス・サロン・ドトンヌ会員
           ・ノーベルノルウエー財団認定作家     
           ・世界芸術遺産認定作家 ・日展所属


   

  zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz



         「朝日歌壇・朝日俳壇から」
 朝日新聞の歌壇・俳壇の入選作から最新の世相を採り上げて詠まれた
作品を新たに選び、コメントを付けています。コメントは文芸上の範を
えることがあります。作品の頭に印が付いている作品は、時の政権

が推し進める前のめり右傾化路線や平和憲法を無視し、国会の存在をな

いがしろにするさまを危惧する市民の投稿になるものです。これらの作

品は、ここでは個々の作品の文芸上の軽重を問うことなく、注目すべき

最新の世相を凝縮した作品として、そのすべてを採録しています。
 これらの作品に対しては、作者の真摯な叫びに読者の耳、素直に従う
べしとして、コメントはつけておません。
 また、文中敬称は省略しております。(筆者)

                ★

なお、号の大切な挿画を新狭山在住の高橋 敏氏にご依頼しました。

狭山水彩画同好会員としてアクリル画及びボールペン画にも精進されて

おり、このほど新狭山の「ギャラリイ麦」にて7月20日~30日まで、

作品展が開催されました。次号にも一部持ち越し分を掲載の予定です。



zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz
                          朝日俳壇 2017.5.1 

                                                  
02-DSC_0777.JPG
                高橋 敏      
                                                                                                                                                                                                 

     二度と来ぬ八十八歳花に酌む                                                                                     
                (いわき市) 坂本玄々

 を切りのいい数字で寿ぐ習慣。まだ若い年代の内は、とても死にそ

うにはないから、11、22、33、44、55の歳祝いはない。そろ

そろ考えられるのが66。そして77歳の坂が超えられれば、まずは重

畳と盛大に祝おう。そして次なるが88歳、八十八の祝い、米寿である。

ここまで来ると「二度と来ぬ」が、極めて現実的になる。いかにかの人

の未来が玄々と黒々としていようと、この年には花に酌むの洒脱、逃す

べからず、桜を前に密やかに祝おうではないか。それから先の99は9

×9で数えて81、ここら辺りで前祝いを聞し召されよ。            


     花冷えにまた来る老いの影法師                                                                                  
                 (愛西市) 小川 弘 

 暖かくなってそのまま順調な季節の運びだったら、気が付かなかっ

かもしれない。だが、急に花冷えがやって来たこと、その対処で老いの

現実が露見した。老いの影法師がちゃんと傍らにいたことだった。

          

    学舎は忘れ桜は忘れざる 
             (東京都) 金子文衛
 おまえ、卒業した高校の名前忘れたのか?と言われて、確かに思い出

そうとしてもそれができない。恩師の氏名もそうだ。だが、あの高校

運動場にあった桜の樹は忘れようがない。いっぱいに咲き誇った桜の

と景はしっかり思い出せる、ときたもんさ。いいなあ、満開の桜のもと

で、というやつ。忘れようとしてもそれができない。不思議だなあ。

                                          
03-DSC_0782.JPG

     天帝へ山の花束大桜
            (熊本県菊陽町) 井芹眞一郎
 この地球上の自然、山川をつかさどる天帝様に申し上げる。この熊本

の山々の美しさにはいつもながら感嘆、そのお礼の花束として、今満開

のあの大櫻をさし上げたい。どうぞ、心して受け取られよ。

心してだと?はい、地震の方はもう結構でございますゆえどうぞ心して。


     一本の桜と棲みて老いにけり                                                                                     
               (川崎市) 堅山道助
 我が家の庭には1本の桜が植えてあった。この家に生涯住み続けるつ

もりはなかったが、転居もままならず、いつの間にか時が過ぎ、桜木

成長して大木となり、春には必ず満開の花をつけてくれた。人間の住人

も歳を重ね、いつの間にか老境に入っておりました。


     雪形を仰ぎ鎌研ぐをみなかな                                                                                     
                (尾張旭市) 古賀勇理央
 濃尾平野の耕地から見える山は冬は雪で真っ白に覆われるが、春と共

に山の雪が解け、黒い地肌が増えるとともに、兎の雪形などが残る季節

を迎える。この雪形を仰ぎ見ながら、種まきはまだ早いとか、植え付け

のころだななどと、春の営農指針として今も大切にされているらしい。

麓の農家では山の雪形の変化をを仰ぎ見ながら、女衆は「そろそろ、草

刈り鎌を研いでおかなきゃ」と声を掛け合い、一方の男衆は「早く女衆

がおいどを立てて草刈りをするさまを後ろから見たいものだ」と期待で

胸をときめかす。いかにも春の到来あればこそ。

                                                
02-DSC_0779.JPG


     白鷺城万朶の花に下りしごと
                 (北見市) 藤瀬正美
 繚乱桜満開の白鷺城を見ながら一句、というところ。お城の名が「白

鷺城」であるから、至るところ囲繞し埋めつくす桜花の城域めがけて、

天空から白鷺がふうわりと舞い降りる状況をイメージしたようですねと。


     ひとひらは蝶になりたる日の斑かな
                   (神戸市) 玉手のり子
 木漏れ日が均等に影を落とす広場にしばし憩う人ありき、である。

あまり風もなく、広場には樹林を通して木漏れ日が地に数多くの斑を落

としている。この静かな広場の斑は時たまそよぐ風に誘われて、揺れる

ように動くが、おや、びっくりするほどに早く動く斑の一つを発見、目

を凝らす。あ、いつの間にこの広場に闖入していたのか、蝶一匹が、あ

またの斑の間をひらひらと飛んでいるではないか。


     突風に沈丁の香を捉へたり

              (岐阜市) 花川和久
 沈丁花の香りは甘くて強いことで知られるが、陰樹であるからか自ら

その香りを周りに放散させるかというと、それはないようだ。「匂いそ

のものに重さがあって、樹下にそれを貯め置く習性がある」などの珍説

が飛び交いそうである。それはともかく、芍薬や百合の花のように、空

間さえあれば、どこまでも浸透させ尽くしてやまぬ花とは一線を劃すよ

うである。さて、この句の作者、突風に沈丁花の香を運ばせ、嗅覚腺に

まで至らしめた。それほどに、沈丁花の香は沈香で在りしかなの一幕。

       

11-DSC_0790.JPG
 
    戦争へ回帰しそうな桜かな
               (東京都) 無京水彦
    満ち満ちて桜花の闇に発光す 
                  (熊谷市) 時田幻椏


          野にあれば男ともだちうららけし                 
                   (京都市)川端 緋

 町中や建物の中に一緒にいるときと違って、広々とした野山に出かけ

たときの男友達はなんとうららかで、のどかな存在であることか。邪心

もなくにこやかに話しかけてくれる。こちらも余計な警戒心もなしに遊

び回るのが楽しい。

 


zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz
    朝日俳壇 2017.5.7

04-DSC_0783.JPG


    空爆の次は花見のニュースかな

                           (横浜市) 杉江美枝
      九条のありて賑はふ花見かな

                    (岡崎市) 米津勇美

    昭和の日うたごえ喫茶に集まれり
                                     (一宮市) 岩田一男


      花満ちて流れは見えず神田川           
                              (横浜市) 鍋島武彦
 都会の疎水として流れる川だから、川幅はさしてない。神田川の両岸

に植えられた桜は年経るごとに繁り、花の時期には満開の桜が鬩ぎあい

で、下の流れが見えないほどだ。人はこの時期だけ、花を見にここに集

まってくる。


       わが庭の花置き尋ね行く桜        
                         (姫路市) 西村正子

 家の庭にはいろいろな春の花が美しく咲いている。なのに、それをさ

て置いて有名な桜どころへ桜を観に出かけるのはなぜだろう。春になる

と、あまたの花への満腹とは別に、別腹の花としての桜を求めてやまぬ

本能が、日本人にはいつの間にか醸成されて来ているとしか言いようが

ない。桜の頃には誰それ構いなく「花見、行きましたか」と声をかける

人が増えることも事実。自身ではまだ花見を済ませていないにもかかわ

らずである。櫻花で充足しないかぎり、春の花には満足しえないという

ことらしい。                                                     

05-DSC_0784.JPG
 
            春の闇わが衣にほめく静電気
                        (ドイツ) ハルツオーク洋子
 ドイツの春の闇と日本のそれと比較してどうかはよく判らないがヨー

ロッパの冬は厳しいと聞くので、春到るとなれば、生暖かさがまず来

のか。着ている衣が和服かそうでないかによっても違うだろうが、温か

さが衣に静電気をまとわしているのを蝕知するのは春の息吹そのもの、

これは性感覚に通じるとの評があり、れには感心した。静電気は性電

気に通じるものかいななどと茶化すのはどうかと思う。


      もう決して戦はぬ国花万朶
                        (いわき市) 坂本玄々

       ゆるびたる桜湯のごと妻の座す
                                (日立市)  加藤 宙
 淹れたての桜湯なら、きりりとした味わいがあるが、冷めてほどけた

桜湯は締まりのない誰かさんの座り方よな、と半ばあきらめ口調で。


   zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz

    朝日俳壇 2017.5.15

                                     

08-DSC_0787.JPG
 
       信濃路の右も左も花盛り 
                   (大阪市) 友井正明
 信濃路の人ははいいなあと羨まれるのは、この界隈に住む俳人はまず

は頭に「信濃路」という言葉をもってくれば、あとは何とかなる、句の

完成度が強まるといわれている。確かにこの句作の場合「上も下も」や

「前も後も」の語を入れてもまあまあ、何とかなるのだ。楽ちん俳句

作り方をどこかで見たようだ。


         戦後よりまた戦前へ四月馬鹿
                           (いわき市) 馬目 空


       ゆくりなく初蝶に会ふ皇居かな
                              (米子市) 中村襄介
  まさか、そんなところで初蝶に出会うなんて思いもしませんでした。

 

       憲法を守り日本を守る春
                    (豊橋市) 河合 清


           全円となるぼうたんの真昼かな             
                                  (合志市) 坂田美代子            
  牡丹の花は強い日光が好き。まるまると咲き満ちるのは丁度お昼頃。                                           

07-DSC_0786.JPG
 
       花惜しむ一人に天意なる一片
                    (浜田市) 田中由紀子
 もう散ってしまうのですかもう少しなんとか、と天を仰ぐ一人に、

うでしたね、との天からのお墨付きの一片がはらりと落ちて参りました。


        端午の日かつて曽祖は鉄兜
                            (所沢市) 小坂 進


     母の日や三代続く片笑窪
                 (新潟市) 斎藤 恵
 おめでたい家系にお生まれです。母と私と娘の三代は笑むと頬がほげ

(九州弁で穴が開く)のですわ。片笑窪でよかった。これは右でも左

も。双方の頬が共にほげるんじゃちょっと不気味。そうでなくて大い

よかった。片笑窪の三代お三方。

           
         花見酒孔子孟子も屁の河童
                   (横浜市) 渡辺萩風
 ここは花見酒の席ぞえ。だれでもええ、連れてらっしゃい。孔子、孟

子級の言の立つ人を連れてきやさんせ。普段威張り散らす奴ならなお、

いいね。権威を笠に着て鼻持ちならぬ男がいる?おお、だれでもいい、

屁の河童よ。そいつら束ねて持ってこようとしゃらくせえ。バリバリと


     島桜白し灯台なほ白し
               (東京都大島町) 渡辺萩風
 その島には確かに白いものが二つあった。なぜか島の桜は白く咲き、

台はそれより白かった。からりとした夏の青と白のコントラスト。

        
zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                      
                      朝日俳壇 2017.5.22.

16-DSC_0795.JPG


         餓死病死爆死地球の子供の日          
                              (大阪市)   三木節子


       四季に死期隠し眺めし春がゆく          
                      (筑紫野市) 二宮正博
 四季の遷り変わりに、みずからの死期を隠してそれぞれに眺めやる日

々。春の季が進み行きもう次に遷りつつある。四季への愛惜隈なく。


     田水張るだけの日帰り近からず          
                      (新潟市) 岩田 桂
 水稲の稲作をしている。稚苗の植え込みも無事に終わり、あとは田水

管理が欠かせない。既にそれが日課になってしまった。豪雨や台風が

来ないように念じ、水利問題が起きぬように心がける。稲作農家の長

水田への田水の張り具合を毎日調節し、見張っている。単純な仕事の

うで、その実、気の張る仕事がこれからもずうっと續く。


      さくら咲く伯父はレイテの水中花 

                     (館山市) 蛯名正男

      銃持たず終る一生更衣                          

                (佐賀県有田町) 森川清志  

                                        

09-DSC_0788.JPG


     散るときも八重に重なり八重桜
                    (三鷹市) 二瀬佐恵子 
 八重桜は蕾から開花の時まで、ぽってりと重なっており、散るときも

八重のまま重なって落ちる。染井吉野などの単桜は開花の後はすべての

桜片は風に乗って行く辺知らずもとなるが、八重はそうはいかない。

重二十重とまではいかないが、重なり合ったまま命を全うする。


          豌豆の莢透かし見る豆の影
                  (岡山市) 内田一正
 豌豆の莢は半ば透明のつくりのため、豆の莢を手に取り陽に翳してみ

ると、内包する実の在処、数を確かめられるが、苞の緑が美しく、豌豆

の魅力の一つをなしている。真っ白なご飯に混ざった「ピースご飯」の

緑いろの美しさも忘れられない。


       雨脚も染めんばかりの牡丹かな            
                         (大阪市) 田島もり
 牡丹の最盛期を迎えている。真夏の光線を花いっぱいに受けて咲き誇

っている。そこへ雷雨を伴う沛然たる雨降りが、牡丹の花の周りを洗う。

その白い雨脚を赤く染めるばかりに牡丹の大輪が咲いている。


       春の野に舞台の涙ついてくる
                (群馬県東吾妻町) 酒井大岳
 去年までは、この里のどこであろうと、お前と二人で共に姿を現して

里の人たちと交流したものだ。ふたりしての人生の舞台を皆に見てもら

っていたと言ってよかろう。だが、今年この春の野の舞台には登場する

身が一人消えた。お前と共に活躍した舞台にあるべき姿がない。数限り

ない舞台の相方を務めてきた大事な連れが失われたのだ。二人の人生舞

に登場したそれぞれの場面が思い浮かぶたびに、涙が従いてくるのを

どうしようもない。

 この春の田園の憂鬱をはるかに超える寂しさが、この里の春の片舞台

を覆うのは、みるからに淋しい。

        夜ざくらを見上げ戦士と呼ばれし日
                      (羽村市) 寺尾善三

     菜の花やいつかは見たき地平線
                  (香芝市) 土井岳毅
 房総の冬は靄に邪魔されて地平線が見えないのか。また春になれば、

海岸線沿いに植え付けられた菜の花に邪魔されて地平線が見えないの                       

 か。そこに住む人から声が上がる。日本は島国でしょ、なら地平線

くらい見せてやってくださいよ。


       谷底へまた谷空へ飛花落花

                 (浜田市) 田中静龍

 小さい山と谷がいくつも連なる山地を山桜の花吹雪が上から下へと舞

落ちては舞い上がる。陸続、綿々として際限なく続く花びらの舞に酔う。


       一弁を飛ばされ牡丹崩れけり
                       (平戸市) 辻 美禰子 

 緊張の極までに咲き誇る牡丹の花。静かに堂々と美しさを完全展開し

たその極はいつまで続くのか。目を凝らすその寸秒は、折からの風に牡

丹の花弁一つが飛ばされて始まり、総崩れの場面へと急変していく。



zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                      
        朝日俳壇 2017.5.29.

17-DSC_0796.JPG

     薔薇剪って今日でなければならぬこと 
                     (高松市) 桑内 繭
 薔薇を剪ったら、あなたの大切な人にあげましょう。好きな人、大事

にしたい人に差し上げましょう。もらった人は薔薇を観ます。そのたび

に身も心も美しくなります。この薔薇をくれた人は誰だったかかしら、

と記憶を辿ります。だから、薔薇を剪ったら、その日のうちに大切な人

に進呈、差し上げましょう。愛い人には一番に。


      人類史角番にあり夏に入る 
                (東京都) 望月清彦


     爆弾のやうに筍売られけり 
               (霧島市) 久野茂樹
 市場のどこかで、筍を一盛にして売られている。ちょっと見れば、確

に筍は爆弾か砲弾のような形をしている。近づいて良く見れば、先っぽ

の方が細くなり、どちらかに湾曲している。これを砲に詰めて発射すれ

ば、どうなる。まず、まっすぐには飛ばない、四方八方に飛び出すだろ

う。着弾すれば、先端部の柔らかいところから順にぐしゃりとなり砕片

として四散するのだろう。美味しい筍を砲弾にすることはない。人の口

めがけて打ち込むように。                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                 ??                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                   

    ★神風や飛魚並みに体当たり          
                  (新宮市) 亀井 洋


     見つめられ少し疲れてをりし薔薇
                       (神戸市) 池田雅かず

 薔薇展などで大勢の観客に見つめられる薔薇のことを言っているのか。

それぞれの薔薇がうつくしさで姸を競うあまり、あまりにも多い観客に

媚びを売り過ぎて、疲れてしまったのだろう。だから、あなたはチラと

その薔薇を見てやって下さい。昔、瞥見す、といういい言葉ががありま

したが、あれでいきましょう。「それなに?」と若い子に訊かれたら、

「なに、チラと見るってこと」と言えば通じるかな。少し軽いな 。


01-DSC_0775.JPG
                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                    ??                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                             

       風となり花の梢に登りたく
                     (富津市) 三枝かずを
 風になれば、桜の花の梢あたりの桜花の群花にまみれることが出来る

というのか、人様の要望もそれぞれだなと思わせるものがある。地上か

ら桜の梢を見上げるのと、鳥のように梢に在って地上までの桜を鳥瞰す

るのは確かに趣が違うでしょうね。まあ、小型のドローンを一台買って

その辺を探るという手もでてきましたね。

 

        ★平和こそ山川草木皆笑ふ          
                (川崎市) 神村謙二

        ★陽炎やすべての戦争許すまじ          
                           (飯塚市) 釋 蜩硯 

        忘れめや生きてる限り原爆忌
                       (成田市) 神郡一成
                             
          (2017.8.1)




XXXXxXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX


      ブログ更新 ご通知


 こんにちは。埼玉 、狭山の アオウ ヒコです。お健やかにお過ごしと存じます。

わたくしも、ブログを更新するごとに、みずからの近況をお知らせすることも含め

て、世界の中の日本がうまく立ち働いているのかについて、目を光らせて、自らの

気力を奮い立たせております。
 ブログの作成が終わるごとに、小生の昵懇とするお方へは「ようやく終えました

」とする通知とともに、あまりにも不都合な真実に出会えば、その不都合を放置す

ることなく、糾弾する姿勢を強く押し出しているように思います。


omitama calla lily.jpg
                     omitama cala lily    酒井 健  


 世界的に炭酸ガスの過剰放出が、いまや、異常気象による災害の頻発を招く原因

であることは、まず科学者の研究により明らかになり、全世界の識者、指導者に共

有され、地球人の常識となり、人類の国境を越えた世界的連帯が深まりつつあった

のですが。
 本年、一人の異星人が米国に誕生。彼は世界の大国アメリカの新指導者として登

場したが、京都議定書に始まる異常気象解消に関する人類の真摯な取組みにほとん

ど理解を示さず、足蹴にしてしまった。これは顰蹙を買うという程度で済むもので

はなかった。その後まもなく、フロリダに大ハリケーンが襲来して大災害もたらし

たが、地球の文明地での高濃度排出ガスの排出はとまらず、極地の氷原の溶解は進

度を早め、今では大規模な氷盤解離、縦分離という事態に達したという。
 この危機的な情勢を的確に判定し得ない指導者が米国に現れたことは、今後の地

球の運命を考えるとき、悲劇的にならざるを得ない。日本の現在の指導者に似て、

これだけの大国を任せるにはあまりにも貧しい智慧の持ち主であり、国民を路頭に

迷わせないための優れた資質を授かっているとは到底思われない。
                ★
 私は情操日本一の新聞社が運営する俳壇及び歌壇へ頭を絞って投稿され、見事入

選された作品を母胎に「日本人の情操と叡智の極」を探るブログを運営している。

このため、新聞社や歌人・俳人(または連盟組織)から何らかの権利に違反、侵害

するとして連絡があるかもしれなかった。だが、当方は代表一人、それが相当のこ

わもてと仄聞したためか、いままでのところ、それはない。某社と短歌・俳句を詠

む日本人の情操と叡智が鳩首して、当ブログを潰すより育てた方が得策ですよ、と

結論付けたのかもしれない。 

 さて、短歌、俳句の候補から、当ブログに掲載する前の前処理作業がある。作品

の頭にをつけるかつけないか、の判定である。これもどちらにするかで悩むとき

がある。例えば本366号所載の次の俳句である。「人類史角番にあり夏に入る」

 (東京都)望月清彦 の場合。
1.数年前から世界の戦争を介しての動き、イラン、イラク、is、サウジ、米国

、UN、ロシア、中国、そして日本諸国が2方、または3方に分かれてis殲滅に

実戦を行った。現在isは消滅したとされている。
2.1.以降、これに北朝鮮が自国開発の大型ICBMを実戦形式で飛ばして以来

、北朝鮮と米国の二国が準戦時体制で向きあっている。
いずれも人類史と称されるだけの規模で戦力を動かしている。
 さて、★をつけるかどうかの判断は、
1.では休戦であるが、今後どうころぶかわからない。
2.では戦争にはなってはいないが、戦争目途に近い状況で北朝鮮はICBMを派

手に飛ばしている。というわけで、近い将来、戦争が起こりうるかという観点でみ

ると、1.2.ともをつける作品になる。


 ★国際政治では;トランプ政府の支持率は、選挙前の公約が達成できないことか

ら低く30%あたりを低迷しているようだが、日本でも、学園二つの設立に内閣府

が介在したことがきらかになり、不公正な土地取引があったことなどを嫌気して内

閣支持率は急速に下げ足を強め、30%の大台を割っている。稲田防衛省大臣も、

ついに庇い切れなくて辞任。「大臣の辞任には総理大臣の任命責任もありますから」

と総理の口からは蛙の面に水のような責任のなさが漂うからたまらない。内閣改造

で支持率UPを狙うのでしょうが、そううまくいくはずはない。


 ★一昨夜、深夜に北朝鮮の新型ミサイル(ICBM)が発射され、順調な飛行を

継続、着陸点が米国本土内に到達しうる、とあって、米国も(途中、北朝鮮は日本

海に落下させた)おちおちできなくなりつつある。「外交面での折衝が行き詰まっ

たら、その後取りうる手段はすべて準備完了している。」と軍事担当の高官がTV

で言明していた。双方で戦端を開く可能性も大いに高く、本気で撃ち合ったら、甚

大な被害が出ること凄まじいだけに、背広組のひと踏ん張りが必要である。31日

にトランプさんは安倍さんに電話をかけてきて、50分も話したという。日本国首

相は前回同様、「北朝鮮がミサイル発射を強行した。断じて容認できない。北朝鮮

に対して毅然と対応する」と国民は同じ手垢のついた文章を何度聞かされたことか。

強がることも必要だが、背広組としての言及や差配が皆無であることは案じられる。

トランプ氏も安倍さんからのアドバイスに何ら新味を感じていないのではないか。

このままの趨勢で行くと、日本は新しい戦争に巻き込まれる可能性はますます高ま

りゆくかたちで進行している危険性にも、も少していねいでありたい。


 一方、何もものを言わず、傍観する姿勢を貫く世界の中小諸国は、結果的には核

戦争に巻き込まれずに生き延びる可能性は高いだろう。市民を守る、という視点か

らすると、力もないのにその国の宰相がべらべらと余計なことを大国に言いすぎる

より、沈着豪胆で、余計なことは言わぬ宰相を持つ中小国の市民の方が生き延びる

確率が高い。前回にも同じ趣旨のことを書いた。

                   ★
 前回までに以上の趣旨をメールの「通知」欄で最初にお届けしておりましたが、

つごうにより、この欄で記載することにいたします。ご了承ください。                                                       
                                     
   URL: http://columneye.blog.so-net.ne.jp/ 
       随想コラム [目を光らせて]:so-netブログ
       e‐mail: hiko@yc5.so-net.ne.jp

           (2017.8.01)



                                                                                                                                                                                                 




nice!(1)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

365  白鳥を十羽発たしめ貯水池は重任果たししごとく鎮もる* [文芸(短歌・俳句) 時事]


     随想コラム「目を光らせて」NO.365「朝日歌壇・朝日俳壇から]

                   歌壇  期間:2017.4.3~4.24

     白鳥を十羽発たしめ貯水池は重任果たし

        しごとく鎮もる


         題 目:朝日新聞(2017.4.3)(下野市)若島安子さんの入選作。


                                                  アオウ ヒコ

51-DSC_0013.JPG                                                                       
  画像:洋画家 青沼茜雲 の作品集から。 28.「秋月の桜並木」

                       ・フランス・サロン・ドトンヌ会員
                           ・ノーベルノルウエー財団認定作家     
                    ・世界芸術遺産認定作家 ・日展所属    

         
                           

zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz


        「朝日歌壇・朝日俳壇から」


 朝日新聞の歌壇・俳壇の入選作から最新の世相を採り上げた詠まれた
作品を選び筆者がコメントを付けています。コメントは文芸上の範を超
えることがあります。

作品の頭に印が付いている作品は、時の政権が推し進める前のめりの

右傾化路線や平和憲法を無視し、国会の存在をないがしろにするさまを

危惧する市民の投稿になるものです。これらの作品は、ここでは個々の

作品の文芸上の軽重を問うことなく注目すべき最新話題を凝縮した作品

として、そのすべてを採録しています。これらの作品に対しては、作者

の真摯な叫びに読者の耳、素直に従うべし、としてコメントはつけてお

りません。 また、文中敬称は省略しています。(筆者)

                    
zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz


         朝日歌壇 2017.4. 3

01-DSC_0656.JPG

                  本編で使用した写真は今春、狭山の小庭の薔薇たち                    
                                      photo:aou.hiko

                                                                                                                                                                                                      

 ★暗闇の大熊町に光れるは東電寮のみ6年を経て                                                                                     
             (長岡京市)田原モト子
 ★公園を一人で散歩していても孤独ではない好独である                                                                                  
             (綾瀬市)小室安弘
             
  母親を無視し出掛けた朝なのにランチポットにクラム
  チャウダー      (芦屋市)室 文子

 朝、家を出かけるときは「行って来ます」の挨拶をするのは普通の家
庭の決りだ。小学生の頃は大声張り上げて出掛けたものだ。何があった
かは知らないが、今朝はこの決りを守らずにプイと家をでた。そこでお
昼になるのだが、ランチポットを開けると私の大好物が詰めてある。ク
ラムチャウダー。あ、これで私の負け。おおいなる反省が来る。今から
でも引っ返して「母さん行って来まアーす」と言いたい気分。以後けっ
して忘れまい。


 釦をばとめてとわれにすり寄りしこの世の妻の最後の願い
             (枚方市) 鈴木七郎

 縁あって婚姻を結んだ二人が過ごした生活の終期近くになって襲い来

る病魔。ここでは女性が病に倒れた。衰弱が進み、今では自分では衣類
の釦を止めるのがままならない。その頼み事がこのようになされ、それ
に応じる夫の姿がある。あまり、好いた惚れたの言葉を日常的に口にし

ない日本の夫婦たち。この奥さんの初めてで最後の願いの言葉は、夫に

切ない思いとしてじんわりと染み渡ったことだろう。

 ★科学者の軍事研究拒否声明三たび確認の重さを思う                                                                                     
           (名古屋市)諏訪兼位

 ★ガラパゴスは携帯ばかりではありません国会という
   日本のガラパゴス                                                                                                                       長崎市)脇濱照義

 ★いつみても理解不能な答弁が日本語壊す国会中継
           (名古屋市)加藤久美

 ★冷却水注げば汚染水となる閉じ込め破綻した炉が
  三つ
           (郡山市)柴崎 茂

                                                        
04-DSC_0660.JPG                           
   ★                             
 春めくよ木にも蜘蛛にもなれぬままかがよう季の到りめ
 を伏す         (名古屋市)長尾幹也
 冬そとはから春へと季節が遷りつつある。小動物も樹々も一斉に動き
出し耀よう季になろうとしているのに、私は病に伏して動けないでいる


 ★戦力外通告出して花束で見送ろうとする容赦なき春
             (福島市)横山ひろこ            
                     
 白鳥を十羽発たしめ貯水池は重任果たししごとく鎮もる
             (下野市)若島安子

 冬の間はこの貯水池には白鳥が十羽越冬し、羽を休めていた。その姿
を見るのが楽しみで、よくやってきました。数日前に白鳥はわたりでこ
の地を離れ、今は静かなものです。また戻っておいで。貯水池も私も待
っています。                        

03-DSC_0659.JPG


  陸封の岩魚を釣れば釣るわれも陸封型とつくづく思う
             (鳥取県) 表 いさお

  U-tube に寄せられた渓流釣りで岩魚釣りを見ていたら、並行
して流れ落ちる滝壺の手前辺りに、かなり岩魚の魚影が濃いことが知れ
た。軽井沢の「滝の白糸」など岩魚釣りには絶好だと思わせたが、釣り
は禁じているのか、釣り人の姿はない。だが、観光でこの「滝の白糸」
に至るには「滝に到る道」をしばらく遡上気味に歩かねばならず、その
入り口周辺の店には、岩魚の塩焼きが十数本も立てて売られている。
 なるほど、あの滝壺周りで、この店の陸封形主人か手代が、早朝に陸
封型岩魚を釣りあげているのか、うまい手を使いおるな、と陸封型の彼
らの奸計を見破るに至るかどうか。 久しく岩魚釣りをしないでいる。


 ★狭かったんやなと父がつぶやいた基礎だけ残った
  旧居の前で      (高知市)丙 俊輔


zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz


   朝日歌壇 2017.4.9           

09-DSC_0697.JPG   

                     
 ★狼が来るから虎に居てもらうそんな理屈の通る沖縄
             (高崎市)羽場内慎一

 ★おもむろにうやうやしくも校長の白き手袋教育勅語
             (上越市)三浦礼子


 「夜と霧」読みつぎて目を上げたれば車中のわれに
  戻られずおれり    (栃木市)飯塚哲夫
 熱中して読書がなされていれば、そういう感覚になる幸せがあるよう
です。目を上げた瞬間に、乗客全員がスマホに変わる文庫本を手にして

いる姿に出会うとか。過去と現在が混淆してどちらが本当かと。


 中庭のロープが解かれ心臓と一緒に探す受験番号
             (富山市)松田わこ

 受験結果の発表日は本人ほか関係者が沢山集まり、今か今かと発表を
待ち受ける。学校側も発表ボードの前にどっと人波が殺到しては困ると
思うのか、中庭に仕切りのロープを張ったりする。これは余計なことで
はないか。いつもと違って緊張気味で発表を待っているのだから、ロー
プ外しの瞬間が来ると、受験者の心臓はバクバクと緊張が高鳴りはじめ
、そのまま発表ボードに殺到するので緊張の極ともいえる状態におかれ
る。可哀そうな受験生。若い柔軟な臓器の持ち主だから凌げるようなも
のの、高齢者のそれだったら、一瞬にして破裂してしまうことだろう。
 これまでに甘いも酸いも誰よりも早く経験してきたわこさんだから、
どうやら心臓は大丈夫だったようだね。 合格おめでとう

                                                            
05-DSC_0684.JPG

                      

  寝返りが初めてできた初孫を打てなくなった母が見てをり
              (川崎市)小島 敦
 初孫が初めて寝返りを打てそうな気配、家族全員が注視の中、めでた

く成功。家族全員からやんやの祝福をうけたが、本来なら母にお尻を

ポンと打たれ、ボディタッチとなるところだが、今はベッドに伏す身

、そこで嬉しそうに静かに見ておりました。


  いつもよりながくてすこしきつかったそつえんのひのせん

 せいのだっこ
             (奈良市)山ぞえ葵

 葵さん、そつえんおめでとう。せんせいのだっこ、どうしていつも

よりながくて、すこしきつかったのだろう。それはね、せんせいのだ

っこ、きょうでおわりだ、あすからはない、とおもわれたからだよ

 えらいせんせいだったね。


 一等室難民船にもあるという命篩うは戦のみにあらず
             (青梅市)青山明日香


 夕さりの耳は鋭きかな巣に帰る羽音、逝きにし人の練習曲
             (宝塚市)櫂 裕子

 夕方になると、わたしの耳は鋭さを増してくる。蜂が巣に帰る羽音、
今は亡き敬愛するピアニストが紡いだショパンのエチュード(練習曲)
が静かに聴こえてくる。夕さりの頃合いに魅かれること限りなし。


 ★国会は虚ろな世界に変わりしか事実に拠らず記憶で答え

  る           (埼玉県)島村久夫


zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz


      朝日歌壇 2017.4.17 
08-DSC_0664.JPG

  忖度」が通訳できず記者たちが戸惑っている
    ニッポンの闇                                         
              (埼玉県)島村久夫
    あおぞらに紙ヒコーキ飛ぶ原っぱは零戦作りし
   工場跡地
           (武蔵野市)田島千代

  現実味帯び始めてる将来の夢問われては返事に困る
           (芦屋市) 室 文子
 何とかそれらしい夢が出来そうなとき、そう簡単に将来の夢はなに

などと聞かないでほしい。答えに窮するじゃないの。精一杯努力し

ているのよ


  我を見る動かぬ光冬の夜の北極星のような眼差し
         (さいたま市)五十部 麻
 私を見る目。じっと眺めている。ちらちらと動いたりしない。不動の
光というか。冬の夜、皆が見上げる北極星のように、信じられる指導性
十分な眼差し。けっして熱くない、温かくもない。


11-DSC_0667.JPG

 蕗の薹は故里の畑に芽の出でず土の除染に根を奪われて

           (平塚市)三井せつ子

  野の花の手向けられたり猟犬と鳥獣の供養塔にも彼岸
           (奈良市) 山添聖子  
 古くから生命を大切にしてきた民族でした。ここ奈良の野原には鳥

の供養塔があり、お彼岸には野の花が供えられている、そんな都で

す。

 忖度をした者たちは否と言うそれも含めて忖度と言う
              (京都市)川原真美子 
 勝ち負けを顔に出さずにきた人の「君が代」歌うとき崩れ
 たり         (前橋市)荻原葉月


 そのお相撲さんは前場所、相手力士と共に土俵下に転落、右肩を損傷
、本場所の出場が危ぶまれた。だが黙々と場所を務めてめでたく千秋

で勝ちをおさめ、優勝力士の栄に輝いた。その力士、勝ち負けを顏に

さず恬淡とした土俵だったが「君が代」が鳴り出したら、もう堪えき

なかった。涙にまみれた。
                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                           
zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                      
    朝日歌壇 2017.4.24


 教育勅語を諳んじてゐる園児にも爺さん婆さんゐる
   であらふに       (長野県)小林正人

 システムの維持ができれば個人などうでもいい、が
  全国覆う        (登別市)松木 秀

 さくらさくら待つふるさとへ帰る人、帰れない人、
  帰らない人       (福島市)美原凍子

 親分が核を持つから被爆国なれどもそれを禁止せぬ
  とう          (三原市)岡田独甫


 機能よく働くものは美しきしぶくかはせみうろくづつかむ          
              (大分市)岩永知子

 渓流伝いの疎林の枝にとまり、じっと下を流れる渓流に眼を凝らして
いるかはせみ。獲物の動きがあったのか、枝を離れて急降下。ここまで
が機能よくはたらくものは美しき、である。清流に頭から突っ込んだの
を、しぶくかはせみ、である。獲物にありついたを、うろくづ(鱗)つ
かむ、である。
かはせみの挙動を作品に表すのは、写真、短歌、俳句いづれのジャンル
でも至難の業の部類に属する。ここでは後77が良く考えられている。
 


 核禁止に反対もせず病んでいる国を哀しむ白き折り鶴
              (石川県)瀧上裕幸

 長女去り長男去れど老二人春の畑打つ再稼働の町
             (薩摩川内市)川野 雄 

 きらきらと雪どけ水の流れ来て行く先はあの原発の海
              (福島市)加藤哲章 

 男ならあの中にいたのよと老教師学徒出陣の映像を指す
                  (三島市)淵野里子

            ★
 春を呼ぶ吾妻に映える雪うさぎ人なき里に桜綻ぶ
                 (福島市)安藤勝夫

  豊かな畑作の指針というか、拠り所の雪うさぎが今年も吾妻山に姿

を見せ、里には桜が綻ぶ頃になりました。とあるが、人なき里の挿入が

気になってならない。そのお人が最愛の伴侶であるかもと思うと壮大な

挽歌が隠されているからだ。そうでないことを祈りながら。
                              
          (2017.7.15)
zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz


     随想コラム [目を光らせて]:so-netブログ 
                           アオウ ヒコ   
          e‐mail:   hiko@yc5.so-net.ne.jp
                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                     

  ----------------------------------------------


     ブログ更新 ご通知
 
170614青森睡蓮花.jpg
                  酒井 健 の水彩画「睡蓮花」(青森・170614



         こんにちは。埼玉 、狭山の アオウ ヒコです。
 早や七月半ば、本来ならば梅雨明け宣言が出て、全国的にすっきりした梅雨明け20日の真夏の空が拡がるところです。一時は横一列に並び、そのまま北上する姿勢を見せた梅雨前線が南下して停滞、九州各県に豪雨をもたらし、甚大な被害を置き土産にしましたが、依然として前線は日本列島に沿って斜めに横たわり、全国的に不順な天候;雨、晴、曇り、雷雨などをもたらしています。関東地方はこのところ、雨と曇りかと思えば晴で、蒸し暑く、すでに酷暑の夏に突入しているかのようです。連日34℃ 前後の日が続けば、体調を保持するのが精いっぱいで、庭では、酷暑に負けた植物が枯れていくのを見かけます。
 しかし、まだセミの声はどこからも聞こえてこない。梅雨が明けていない、まだ夏じゃないよ、と無言の沈黙が続いています。気象庁もいつからセミが鳴きだすかを、耳を欹てているのでしょうか。そのうちそのうちでしょうが。


 ★ 安倍内閣支持率33%の衝撃
 それは、2017年7月初旬に生じた。
東京都都会議員選挙を前にして、この欄で予測した事項がそっくり現実となりつつあり、自民党政権を大きく揺さぶっている。
まず、都議員選挙で、自民惨敗、過去最低。小池知事派 過半数 都民フア
第1党 「安倍1強」に大打撃」と見出しが躍った。(朝日新聞 7月3日)
 次に自民党大敗の原因が語られた。
首相の求心力 低下。 豊田氏・萩生田氏・稲田氏・下村氏 疑惑や不祥事「自滅」  改憲・総裁選不透明に。  党内からも首相批判。
 都議選は国政選挙ではなかったが、都議選の趨勢が国政選挙に及ぶことに思いを致したのであろう。都の自民党は首相の不人気が都議選に及ぶことを恐れて街頭応援演説をさせなかった。が、最終日に、秋葉原駅前に立ち安倍首相の応援演説があった。ここで、聴衆から、「安倍帰れ」「辞めろ」という声が投げ掛けられる。彼にとっては聴衆はすべて自分の味方だと思っていたのか。国の最高権力者に向かって「帰れ」「辞めろ」の声掛けをするとは何たる無礼、許されざる行為だと思ったのか。思わず口早に「こんな人たちに負けるわけにはいかない」と口走ったのだ。そこには(自分はとてつもなくエライ人間だ、お前らはひれ伏してものを奏上する立場であろうがの)と言わんばかりの喧嘩腰の早口があった。
 これで、終わり。人心は離れた。安倍政権の支持率は急降下した。朝日新聞調査(8,9日)で安倍内閣の支持する33%、支持しない47%。「首相信用できない61%に達した。いまだ下降の勢い止まずのようである。
 ★20国首脳会議に参加
これに関与するため、という理由をつけて安倍首相は国内懸案事項を強行採決した。不満をぶちまける野党を宥めるかに、野党側と残された森友、加計学園問題を国会閉会中審査の形でケリをつけよ、と内閣府の官房長官に一任したのであろう。夫婦して嬉々として愛機で旅立ったことだったが、留守中の審査会で、参考人として呼んだ前川前次官の落ち着いた厚みのある証言を崩せず、首相の帰京を待つことになる。
 そして、安倍首相は閉会中審査には出席しないとしていた前言を翻して、首相出席を声明、加計問題の説明にあたることになる。官房長官は「私に任せると言っていたではないか!」と迫って、反対したらしいが、支持率低下の数字を見て仰天し、「俺なら何とかなる。」としたものらしい。おそらく、十字砲火炸裂して、戦況回復ならず、になる確率これまた高しであろう。「だから私が言ったじゃ、ありませんか!」との官房長官の恨み節が聞こえる。


 ★ ブログ更新しました:                                                      
 さて、今回の随想コラム[目を光らせて]は NO.365 
「白鳥を十羽発たしめ貯水池は重任果たししごとく鎮もる」をお届けします。

 近況、おまちしています。 

                                                                                                        
   随想コラム [目を光らせて]:so-netブログ
   e‐mail: hiko@yc5.so-net.ne.jp
           (2017.7.15)







                                

nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

364  音もなく水輪となりし落花かな*        [文芸(短歌・俳句) 時事]

       随想コラム「目を光らせて」NO.364「朝日歌壇・朝日俳壇」から

                     
          俳壇  期 間:2017.4.3~4.24   
       
         音もなく水輪となりし落花かな


    題 目:朝日俳壇(2017.4.9)(立川市)越智麦秋さん入選作。


                            アオウ  ヒコ

58-DSC_0008.JPG                                

画像:洋画家 青沼茜雲  作品集から。27. 「望郷」(フランスにて)


           ・フランス・サロンドトンヌ会員
                    ・ノーベルノルウエー財団認定作家     
                 ・世界芸術遺産認定作家
・日展所属 

xxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxx
                           
            「朝日歌壇・朝日俳壇から」

       
 朝日新聞の歌壇・俳壇の入選作から最新の世相を取上げて詠まれた

品を選び、筆者がコメントを付けています。コメントは文芸上の範を越

えることがあります。作品の頭に印が付いた作品は、驕り高ぶった政

権が推進する前のめりの右傾化路線や平和憲法を無視し、国会の存在を

ないがしろにするさまを危惧する市民の投稿になる作品です。これらの

作品は、ここでは個々の作品の文芸上の軽重を問うことなく、注目すべ

き最新話題を凝縮した作品として、そのすべてを採録しています。これ

らの作品に対しては、読者は投稿者の真摯な叫びに耳、素直に従うべし

としてコメントはつけておりません。また文中敬称は省略しています。

                        (筆者)



               xxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxx

        朝日俳壇 2017.4.3


10-DSC_0602.JPG
      本稿で使用した写真は今春、狭山の小庭で咲いた薔薇、ばら、バラ                    
   photo:aou.hiko
                                                                                                                                                                                              
  春渇く墓に水して次の人   (川崎市)八嶋智津子

 このごろの人との付き合いは、生者同志でも、年に賀状の1本きりと

いうのが多いが、逝きし人との交情も例に漏れずで、寒さの頃には墓参

りに脚を向けることはなく、漸く春が来て、彼岸の折に墓参りに行く。

冬の間は寒く肉親さえも無沙汰するから、墓碑に水をくれる人もなく、

花もなければ水もなく、からからに渇いている。そこへ彼岸の墓参りに

見えた人が墓の周りを清掃し、墓石に水をたっぷりと参らせ花を活け、

香を燻らせて手を合わせる。「ご無沙汰いたしおりまして。次にご一緒

するのは私めのようでありますので」とか、なにやらをぶつぶつ。

                                   
   火叩き棒持ちし亡骸空襲忌    (横浜市) 伊達 天

 

   春寒し渚に遺品探す人       (茅ヶ崎市)古田哲也

                    
   啄木の多喜二の小樽鳥帰る   (川崎市) 堅山道助


 啄木も、多喜二もこの小樽には縁が深かったのか。私も懐かしい思い
樽へでかけていた。ちょうど小樽の空は「とり帰る」の時期で、
しい帰巣地へ渡る鳥たちの姿が遠く小さく見えていた。

   鷹鳩と化してバランス崩しをり(和歌山県日高町)市ノ瀬翔子


 鷹はいつものように悠然と空を舞っていたが、眼下に獲物としての鳩

発見。急降下に移行する。気づいた鳩は遁走体制に入り、その追及を

す局面となる。獲物がもっと小さい小鳥であれば、鷹の急襲に慌てふ

ためき、鋭い爪を逃れる術はなかったであろう。が、鳩はそれなりの飛

力を備え、鷹の単発的攻撃を躱す術を備えて上に下に、右に左にと機

に身を躱して危機を脱する能力を持つ。鷹は悠然と空を滑るように舞

飛翔術ではなく、鳩の融通無碍、身軽な飛翔パターンに変えなければ

獲は無理だと悟ったが、飛翔術を急に鳩のそれに変更したため、飛行

ランスを崩して捕獲どころではなくなった。鳩が鷹を翻弄した大空で

一部始終。命をめぐる鷹の完敗、鳩の完勝。



29-DSC_0727.JPG
                    

  戦争を知る雛飾る知らぬ子に    (平塚市) 日下光代


  秩父嶺や噴煙のごと杉花粉   (前橋市)  荻原葉月


 花粉症という季節病が3月になると発症するのは杉の花粉が空中にま

散らされて漂い、これが鼻や目に入ることによる。現実にそのさま

ルフ場で目にしたことがある。噴煙のごと、やや緑がかった天幕が

乗って動く中でのプレイだったが、この日、目が真っ赤になり、瞬

るにも難渋した。


  畏みて蒲公英低き皇居前   (市原市)  鈴木南子


 皇居前広場にきて、タンポポの花が低い姿勢で咲いているのを見た。

ここが皇居前広場であることを知って、畏れ入って姿勢を低くしている

んだなと感たらしい。


  本陣も脇本陣も雛祭  (高知市) 森脇杏花


 中世に宿場(宿駅を中心に発達した集落)は街道の整備と共に近世に発展した。

本陣・脇本陣・旅籠屋を中心とし周辺農村に助郷を持つ。(広辞苑)


 今も、宿場が当時と同じ風情で残り、古きを懐かしむ人々で賑わっ

る。の宿場町も本陣、脇本陣とそろって雛人形が飾られている。

                    
  福島へ戻れぬ人と雁供養   (相馬市) 根岸浩一


  とり帰る歳時記かかへ発たれしか    (盛岡市) 松田昭雄


「とり帰る」の時節になり、昨年も一昨年も同じ日に、鳥たちは日本を

後にしている。あたかも、歳時記を参考にし、胸に抱いて出発なされた

のかと思わせるように。律儀に正確に。


      xxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxx

      朝日俳壇 2017.4.9


17-DSC_0780.JPG
                                   
  戦争に人を束ねし桜咲く      (東京都)三角逸郎


  黄沙降る兵を送りし村はずれ  (埼玉県川島町)小林 実


           

   囀りを指揮するごとき大樹かな (ドイツ)ハルツオーク洋子

 
 大樹がある。鬱蒼とするばかりの枝葉の中にはたくさんの鳥たちが住

んでいる。いろいろな鳴声が混じっているから、混声合唱団が住み付い

ているとでも言えそうだ。この囀りをだれが指揮しているのか。いわず

と知れた大家の大樹である。


   草餅か桜餅かでまよひけり   (熊本市)金場貞子 


 この季節になると、繰り返しこの季題が登場する。二つとも食べれば

いじゃないか。いや、二者択一を軽やかに、悩む春の到来をなんとし

う、と愉しでいるのだ。


  音もなく水輪となりし落花かな    (立川市)越智麦秋 


 さくらを愛でて、その風情を大切にして、記憶に残したい。さくらの

花の短いいのちをはなびらに託して、そこはかと漂う水辺の動きを静か

に眺めている。去りがたい想いに捉われるのは、いつまでも、さくらの

水輪の周囲の微小な揺曳が壊れずに、そのままいつまでも残ってほし

と心から願っているから。


   咲き満ちて息を詰めたる桜かな   (枚方市)中嶋陽太


 桜の樹の当面の春の目的はなにか。知れたこと。すべての桜の蕾をつ

つがなく成長させ、満開の状態に持ってゆくことであろう。そのような

目標達成の瞬間がくる。桜にとっては「咲き満ちて息を詰めたる」瞬間

への到達である。桜よ、そのあとどうする?と問われても、すぐには答

は出せないだろう。「そんな無茶な!ケセラセラに近いですよ」と。



15-DSC_0708.JPG
                   
    朝まだき囀り高く競ひけり  (奈良市)田村英一 


 早朝。奈良公園の林からは鳥の高い囀りの競い合いが聞こえてくる。

鹿の声は夜遅くまで聞こえるらしいが、鳥は早く寝静まるから、朝は早

起きよという摂理があるのだろう。

              
   暗黒や僕のトマトが冷やしてある (長崎市)横山 隆

 
 家へ戻っても明りは点いていない。真っ暗で誰も待ってはいない。

が、冷蔵庫には僕のトマトが冷やしてある。もちろん僕がトマトを買っ

て僕用に冷やしておいたものだ。僕はトマトが好きだ。家へ帰り冷蔵庫

の蓋を開ければ冷やしたトマトにありつける。そう思うだけで幸福感に

満たされる。それだけで十分。他はいらない。そのために僕は懸命に働

く。


  耕しの達人なれば畑の嬉々  (前橋市)荻原葉月

 
 うちの畑は良く耕されている。皆から耕しの達人といわれている。

ら、作物が良く育つ。畑にしてみれば、良く耕してくれるから嬉しく

たまらない。そのお返しに作物を良く育てあげている。「良く耕せば

畑作は良くできる」は「経営は人よ」というに通じる。


02-DSC_0679.JPG
                   

   春鹿や疲れ伏す父ああ自然  (神戸市)豊原清明

 
 春鹿が各地でお目見えする頃となった。そのためには夜交合に精を尽

した雄の貢献あってのこと、疲れ臥す父の姿があった。讃自然!とい

もの。

                                     
   家中の音に蓋して朝寝かな   枚方市)山岡冬岳

 
 とにかく周りがうるさい。雑音に充ちている。家中で音を発するもの

べてに蓋をした。おかげで朝寝ができたような気がする。


  貧相な政治環境花粉舞ふ  (新宮市)中西 洋




      xxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxx
      朝日俳壇 2017.4.17


01-DSC_0675.JPG
                      

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                  
   友あれば恙とあれば花便り  (芦屋市)酒井湧水

 
 古い友人から便りがあって、元気にしている、とある。なら、こちら

らも花だよりの返事をを出しておこう。と、ちょっと寂しい。


    初花に始まる慢ろなる十日  (米子市)中村襄介

 

 人間というものは不思議なもので、桜の初花が咲いて以来、この十日

というもの、なにをして過ごしたのやら、理由もなくただただ漫然

を過ごしおりましたなあ。


   囃さるる百年ぶりの鰊群来  (札幌市)青木秀夫

    
 北海道のかつて豪勢な鰊御殿が並び建ったあの浜この浜、今は亡き森

久弥の作詞作曲で全国に知れ渡った「知床旅情(昭35)で親しいが

の浜に百年ぶりに鰊の大群が押し寄せた鰊群来(にしんくき)のニ

スをこの朝日俳壇で知るとは。それは日本国中で囃されて当然のニ

スだった。鰊はそう美味ではないが、腹子の「数の子」は正月の祝い

には欠かせない。数の子の値段が鰊不漁で異常につり上がったことも

り、来年の正月の数の子価格はどうかな、と今から思わせる。また、

群来(にしんくき)という言葉、いかほどの人が覚えておいでだった

か。「なんじゃい、それは?」という人がほとんどではなかったか。

            

  春愁や畦飛ぶ子らを久に見ず   (群馬県東吾妻町)酒井大岳


 何となく春憂いに閉ざされるこのころは畦道を飛び回る子供をよく

ものだが、この風景を一向に見なくなったのも原因の一つだ。
                                        
  蕗の薹皆へつらはぬ面構え   (苫小牧市)齋藤まさし


 冬の名残を残す大地に春の魁として顔を出す蕗の薹。黄緑の花芽を見

つけるのは楽しい。ここにも、あそこにもと声を揚げる人に呼応するに

相応しく、蕗の薹はどれもこれも俺が一番に顔を出したぞ、と堂々とし

た面構えを見せている。


28-DSC_0742.JPG
                  

  両ひざをついてしまへば土は春  (川崎市)八嶋智津子


 先だってまでは霜柱が立つ土だったが、ひよいと両膝をついて驚いた

土が温かい。春が来て居たんです。 

 
  原発は安全ですと四月馬鹿   (川崎市)池田 功


                 

  青き踏む五六歩なれど母の笑み  (米子市)中村襄介

                                        
 母は野良仕事からはとうに引退している。久しぶりに麦畑に連れ出し

「踏んでみる?」と尋ねると頷くので、介添えして青麦を踏ませた。

 母は五六歩、歩いただけで笑みを浮かべ、満足気だった。


  花疲れこのまますっと逝くもよし(栃木県壬生町)あらいひとし


 満開のさくらを眺め歩いて、心地よい花疲れの境にある。どうせ逝く

のなら、わがいのち、さくらの元にてすうっと逝くのもいい。なにも桜

数寄の禅僧にあやかる忌日目当ての逝去ではなく、桜花の精に魅入られ

引き込まれての静かな逝去でありしかな、と誰かに彰功されればこれで

よし、として。


   春場所の怺へ切れざる泪かな   (倉吉市)尾崎槙雄

                                                           

 久しぶりに沸いた本邦出の唯一の横綱の千秋楽優勝の土俵。平静を保

ち続けたものの、優勝盃を腕に抱えたときには、ついに押し切られて、

怺へ切れぬ泪が次から次へと流れ続けた。満場の観客が叫ぶ「優勝おめ

でとう」の声が土俵めがけて押し寄せ、何度も何度も新横綱を胴上げだ。



    xxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxx
         朝日俳壇 2017.4.24


02-DSC_0759.JPG

  フクシマの花憤る棄民とは       (八王市) 北野妙子

                                  
  戦あるなと田螺がこぞって囁きぬ  (横浜市)   本多豊明


  反戦の老婆にうらら鳩餌付く        (松本市) 松井武石                
               


   孫たちの来たる心地や燕来る   (高槻市)日下總一


 爽やかな勢いで飛び込んでくる。青空を縦横左右の十文字に切り裂い

て飛び交うはツバメ。高校か大学か、子供の受験日も迫っている。孫た

ちがトライする姿と、颯爽と飛ぶツバメが清新さで似通う。試験を終え

ら早くいらっしゃい。待っていますよ。


   一村が一樹に集い花の宴    (霧島市)久野茂樹


 村中、誰に聴いてもこの桜に勝る大樹はない。山にあるのか、里にあ

るのか、果たして個人所有になるのか、ないのか。昔から春弥生の好日

を選んで、村の人がこの桜の大樹の元に集まり、花の宴が催される。

 過去一年間の慶弔の々が漏れなく報告され、その席にはそれぞれ選

すぐった料理と馳走が並び、村人一同はそれぞれの場所を占め、差し

差されつ、桜と人の移り変わりを愛でつ惜しみつの花の宴だ。個々の

ースごとに惜別、惜敗、愛惜、痛惜など思いが、桜の淡い色調を帯

びて語られるようだ。

 

08-DSC_0693.JPG


   石庭の静寂破る春の蝶   (稲沢市)杉山一三


 一匹の蝶が広い石庭に舞い込んだとしても、その静寂に抗するまでも

ないだろう。だが蝶の世界で力量を選考されて、その春を代表する有数

の「春の蝶」として栄えある地位を得た初蝶が由緒ある石庭に派遣され

たとなると、話は別である。石庭に居た「初蝶を珍重し価値を認める」

人が黙ってはおかない。「初蝶だあ!」と彼は叫ぶのだ。(その人がそ

こにいなければ、石庭の静寂はそのまま、破られることはない)


 初蝶の慧眼はその彼がその石庭ヤードに居るかいないかを聡くも見破

り、すぐに石庭を舞に、「初蝶の春飛翔の舞ひ」の披露に向かう。高

低く、緩く速く、左右の開きにそれぞれ段差をつけて、広い石庭を軽

かに、強弱をつけて縦横無尽に飛び交うのだ。そうなれば、例え一匹

蝶の所在であっても石庭の静寂は破られる。初蝶の能力の高さに人は

然となり、いつしか茫然とするばかりである。 


   話みなうなづくばかり花疲れ   (松戸市)清水重用


 桜見をあらかた終えると、相当の距離を歩いているのが普通だ。当初

はきれいね、美しいね、はなびらの降る風情もいいね、などと話が弾む

ことだが、疲れると口数は次第に減り、そうだ、そうですね、がついに

は頷くばかりになる。 これが花疲れの症状、ほぼ歩数で八千歩か。



11-DSC_0027.JPG

           

   愛犬の仏となって山笑ふ   (南アルプス市)榊原章男


 このほど私の愛犬が死にました。山にはいつものように春が来ました。


   咲き満ちて色失ひし桜かな  (今治市)横田晴天子


 確かに桜花は蕾の頃には薄い赤いろを帯び、花開くにつれてピンク色

へと、開の頃には白く呆けてしまう。


             
                            (2017.7.1)


  


   e‐mailhiko@yc5.so-net.ne.jp

 

 

           (2017.7.1

 



xxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxx




                   ブログ更新 ご通知


                                                 
170630紫陽花本土寺.jpg
                                      

                                       酒井 健  紫陽花 本土寺 (170630)

   



 こんにちは。埼玉 、狭山の アオウ ヒコです。

月に入りました。関東地方は毎日雨と曇りで、しばらくは青空とはお

別れのようです。その間を縫って全国高校野球の地方予選が行われてい

ます。そのうち勝ち負け進み、地方の代表校が揃う頃には梅雨も明け

て、甲子園の上空には見事な青空が広ているでしょう。

 「三日見ぬ間のさくらかな」と桜好きさんが花見の短さを嘆いたくら

いに、6月の後半わずか15日ばかりの間に、世界の指導者や、その動

が急激に変転して、日本もその例外ではなかったようです。  


       愛(う)いやつだのう、から離れられずに

 飛ぶ鳥を落とすの勢いと例えられ、安倍一強と称された安定政権が、

急激に綻び始め、あれよあれよの間に、支持率を失い始た。配下の大臣

でも男であれば、電光石「オイあいつ辞めさせろ」と首を切ったの

に、かわいいおねえちゃん大臣の不始末に、なんと相好を崩して「やめ

んでもよか(辞めなくてもいい)」の連発。そういう配下を持っておれ

ば、任命責任が忍び寄るとは思いもしないのか、いつまでもその無理無

体が通り、許され継続すると思うのか。いくらなんでも、甘ちゃん国民

と言えども「いい加減にせんかい!ここは灸を据る潮時やな」と腹を

くくる。まず、東京都会議員選挙での自民大敗がくる。これまでなんと

か与党に与していた公明党のあからさまな離脱、増幅する反目劇。いく

らなんでもあの首相ではついていけないぞ、とする自民党内の良識派の

覚醒もあるだろう。急降下中の政府支持率のいや増す低下。衆・参国

選挙に打って出れば、低俗で顰蹙を買い続けるアベ・チルドレンの総敗

退、落選。憲法を遵守することなく国会を軽視し「閣議決定」などとい

う姑息な手段を大っぴらにし、傲り昂ってやまなかった男が「裸の王様

である自らに気付く日。前に敷かれているのはすでに黒い敷物のよう

だ。金色や赤色の豪勢な絨毯なぞではないはずだ。       

 ★ブログ更新しました:                                                       

 さて今回の随想コラム[目を光らせて]は NO36

 

 「 音もなく水輪となりし落花かな *」をお届けしています。

 

  なお、挿画は久しぶりに先号から、酒井 健の水彩画登場です。

 

                   (アオウ ヒコ)

                          

 

    近況お知らせください。⇒   e-mail:hiko@yc5.so-net.ne.jp     

   

 

 

nice!(1)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

363 震えたぞ裂けたぞ空気が産声で命の目覚めみなぎる力 [文芸(短歌・俳句) 時事]

                                               

  随想コラム「目を光らせて」NO.36「朝日歌壇・朝日俳壇から

                          

        歌壇 期 間:2017..06~27

 

      

     震えたぞ裂けたぞ空気が産声で命の目覚め

 

        みなぎる力

 

          

     :朝日歌壇(2017.20)浜松市)山崎淳司さんの入選作。                                                                   

                         アオウ ヒコ 

                                     

50-DSC_0014.JPG     
画像:洋画家 青沼茜雲 作品集から  27.
三桂神社「柳川」

    フランス・サロン・ドトンヌ会員

 

    ・ノーベルノルウエー財団認定作家

    

 ・世界芸術遺産認定作家

 

・日展所属 

 

                  



                                                      

           「朝日歌壇・朝日俳壇から」       

 朝日新聞の歌壇・俳壇の入選作から最新の事柄を取上げて詠んだ作品

 

を選び筆者がコメントを付けています。コメントは文芸上の範を越え

 

ることがあります。作品の頭に印が付いた作品は時の政権が推進す

 

る前のめりの右傾化路線や平和憲法を無視し、国会の存在をないがしろ

 

にする驕りのさまを危惧する市民の投稿作品です。

 

 これらの作品は、ここでは個々の作品の文芸上の軽重を問うことなく、

 

注目すべき最新時勢を読み込む話題作として、そのすべてを採録してい

 

ます。これらの作品に対しては、作者の真摯な叫びに耳素直に従うべ

 

としてコメントはつけておりません。

 

 また、文中敬称は省略しています。(筆者)

 

 

 

 
xxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxx

         

     朝日歌壇 2017.0

                    

1-DSC_0259.JPG

 

     以下、本号使用写真はこの五月狭山の小庭を彩った薔薇。

               

                     photo: aou.hiko

 

 

                                                                                                                                                                                                      

 迷ふなら弱きに立てと習ひしが強気に従ふこの国の風

                 島田市水辺あお

 民心も海も引き裂き沈めらる二百個をこす巨大ブロック

 

                 嘉麻市)  野見山弘子

 

 ガマの中も摩文仁の丘も目は泪辺野古の海も高江の森も

 

                 (伊丹市) 宮川一樹

 

 トランプはジャイアンに似てシンゾウはスネ夫に似て

 

  いる日米関係      (横浜市) 石川幸男

 

 

                

 

  なにげない顔して花に埋れ居る六十三年連れそひし夫は

 

                 さいたま市)小熊あつ子

 

 

 もう何も言わなくなった。六十三年もつれそった人が口を利かずにお

 

棺の中にいる。花に埋もれて動かず、一番いい顔を見せたつもりか、何

 

気ない表情を見せている。命というものは不思議なものだ。肉体から

 

すうっと抜けてしまう。残るは冷えゆく亡骸。これがお別れです。

 

 

 

2-DSC_0260.JPG

                 

          

              

  剃髪し頭皮の青き息子には末期の不安まだよぎるまじ

 

               三原市) 岡田独甫

  

 寺を運営する和尚の身としては寺を継ぐ者が居なければ、心配でたま

 

らない。幸い息子が大学を経て継承者となってくれた。その儀式として

 

の剃髪、そり上げた頭皮は青々として、初々しい気分が先立つ。これか

 

らの長い和尚としての生活が始まるが、押しのけられたように退役する

 

和尚の自分には今、末期の不安で一杯なことなど、知る由もあるまい。

 

                 

 

 戦闘と言うとやっぱり問題だ南スーダン事変と呼ぼう

 

              登別市松木秀

 

 

 二、三日のつもりが六年過ぎてなほ原発避難はさらに五年と

 

              国立市半杭螢子

 

 

  かぜのこになってはしるよえんていのいちばんおくの

 

  ひみつきちまで 

                 (奈良市) 山ぞえ 葵

 

 奈良市に住む女流歌人のお嬢ちゃんだろうと思われるが、いつの間に

 

か歌を詠むようになった。元気いっぱいに外気を吸ってすくすくと育っ

 

ている。歌を詠むためには多くの言葉を覚えなければならないが、ここ

 

では、風の子、堰堤、秘密基地、などが使われている。

 

 

 

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX               



    朝日歌壇 2017.013   

7-DSC_0284-006.JPG

  

  沖縄の人に寄り添うというのは見て見ぬふりをすること

 

   らしい

                長野市) 弥津信子

 

 

   ホームより転落したる盲人の犬を離せる刹那を思ふ

 

                仙台市佐藤 純 

             

 視力が極端に弱い人にとって盲導犬は希望の星である。この人も盲導

 

犬を連れて駅のホームに上がったが、軽率にも縁から転落。その刹那、

 

彼は盲導犬の把手から手を離し、共に転落することはなかった。

 

 このニュースに接して作者は、その刹那、瞬間について思いを凝らし

 

ている。事件の最終的な結果の報告はないが、連れの盲導犬も大変な一

 

日であったことだろう。盲導犬協会の訓練カリキュラムではそのような

 

時の訓練は受けていなかっただろうからだ。困っただろうなあ。

 

 

 「六五〇シーベルトのデブリ」とふ紙面静かにめくる

 

  雪の朝なり     福島市 美原凍子

  

 

                

 

  五ケ月の病院ぐらし濃密な生命を生きて今日退院す

 

               尾道市) 山崎尚美 

 

 長い入院からようやくに脱しての退院おめでとう。それも「濃密な

 

命」を生きて来たから、とあるが、この濃密な、という語彙がここで使

 

われる意味がよく解らないでいる。天与の「ちっとやそっとでは滅しな

 

い生命体」をうまく生かして退院に漕ぎ着けた、ということなのか。

 

 

 

                   

20-DSC_0783.JPG

 

  妻どこに!娘はどこに!七歳の孫と迎える七年目の春

 

                福島市 加藤哲章 

 

 大地震に伴う巨大津波に襲われたあの夜の記憶はいつまでも鮮明だ。

 

妻と娘の名を交互に呼びながら辺り構わず探し回った狂奔の一夜。

 

報われることはなかったが、奇跡的に見つかった生まれたばかりの孫と

 

暮らすこの7年間。今年で、七年目の春を迎える。

 

 

  空にヘリDJポリスは音量大けやき通りは稀勢の里待つ

 

              牛久市) 岡野さな江

 

 牛久はよいとこ一度はおいで。現今、本邦唯一、日本生まれの大相撲

 

横綱、稀勢の里関の出身地なるぞよ。さあさ皆の衆、いらっしゃい牛久

 

の里へ!街いっぱいに繰り出した歓迎式典目当ての皆の衆。全国からも。

 

 その一人として、けやき通りに繰り出した。空にはヘリがブンブン、

 

人出を規制するDJポリスの音量は大。街全体が上ずっておりましたよ。

 

                 

 

        つづく  NO.363-2

 

                (2017.6.15)

  xxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxx

 

 


nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

363-2  荒磯で生きるサザエに神様は虹色の部屋与えなさった [文芸(短歌・俳句) 時事]

 

      xxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxx

    

         朝日歌壇 2017.03.20

             

14-DSC_0037.JPG

 

 かつてなき日米の強き握手見ぬ沖縄はいつ沖縄になる

 

             (成田市) 神郡一成 

  人乗せた大凧揚げし話など今に伝えて町は寂れる

 

             (前橋市) 船戸菅男 

 

 超スーパの進出で、従来の商店街は潰れ、シャッター街に転じてから、

 もうかれこれ三十年。帰省の都度、景気はどうねとタクシーに尋ねるが

 、ぱっとしませんねの答えが返ってくる。前橋では昔、大凧に人を乗せ

て景気浮揚をはかったらしいが、思うようにいかなかったらしい。街だ 

けでなく、国が下がり基調にあるから、あくせく五輪、万博、カジノと 

人寄せに注力しているが、あの傲慢な迷君が退陣して、よほどの君が出

ない限り望み薄。寂れます。

 

 

  亡き父の植えしチューリップの球根はいつしか絶えて 

  春めぐり来る

                (仙台市) 小室寿子

 

 秋にチューリップの球根を植えれば、翌春に美しい花が咲く。咲かせ

 

てそのまま放置しとけば、根元に来春用の小さい球根ができるが、小さ

な花にしかならない。父君は毎年、新しい球根を買い求めて植え変えて

おられた。だから、家族の皆さんは、毎春美しいチューリップの花を楽

しまれた。亡くなられて、残った者がなにもしなければ、チューリップ

は咲かない。いつしか絶えて春が来るなんて、ないものねだりの寂しい

春でございます。

 国立の青澄み透る空見れば唯に恋しき福島の家

 

            (国立市) 半杭螢子

 

 古稀超ゆる平和アパート壊すとぞ峠三吉住まひし部屋も

               

                       (静岡市) 安藤勝志

 

              

19-DSC_0782.JPG

                 ★          

 

 孤独には慣れるが人は孤立には耐えられないと知る職員室

             

                       (さいたま市) 飯塚瑠美

 

 なにかの社会の一員として共同生活をする以上、なにかしら他人との

 

 軋轢が生じる。その対応によって、あの人は一人でいるのが好きなのね

 

(孤独)、自分からは寄ってこない人なのよ(孤立)と値決めされる結

果を生む。これはなにも職員室だけではないことを知ろう。 

 震えたぞ裂けたぞ空気が初声で命の目覚めみなぎる力

 

               (浜松市) 山崎淳司

 

 呱々の声を揚げる嬰児。出産の場に居合わせて、その声の大きさ峻

 

さに改めて驚いている。次代を背負う嬰児だもの、そのくらいの気

 

くしてなんとしよう。周りを驚愕させるほどの大声を出しての出生。

 

うでなければね。次代を託すお人だもの、大いに期待していますよ。

              

               

 二号機のそばで働くはこはからむ一分弱で死に到るそばで

 

                (北九州市) 嶋津裕子

 

 独り身の仮設暮らしの年寄りを原発孤老と誰が呼びしか

 

                (福島市) 加藤哲章

 

 あてどなき、よるべなき、また後のなき、「なき」を生

  き行く身にふる霙(みぞれ)             

                (福島市) 美原凍子

 

 イグアナの仔を狩る蛇等はワルキューレの騎行の如く砂

  地を進む

               ( 長崎市) 柏原由貴子

 

 「来世はこの地に生まれてくるなよ」と被曝牛舎に老婆

  の声が

               (いわき市) 鈴木愛子

 

 「みちのくの真野の草原」線量計立ちて春めく光浴びをり

 

               (三鷹市) 増田テルヨ

 

                 

 

 

xxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxx

 

     朝日歌壇 2017.03.27

 

02-DSC_0006.JPG

             

 

 折り鶴はSNSで手から手へ知らない国の風光る空へ

              (札幌市) 森越裕里

 

 

 若さよりきっと大事なものがある年を重ねていい顔の人

              堺市) 一条智美

 

 人は歳を重ねるにつれて、いい顔になると謂われている。長年の年月

 

の経過が人に知性や感性に磨きをかけ、分別をつけるからだと。若い人

 

 は、私もそうありたい、豊かに歳を重ねたいと目を細めて遠くを見つ

 

める。だが、老人は思う、いつの間にこうも老けてしまったのか。叡智

と分別を人格に帰し漂わせる顔になるはずが、今やシミと皮膚の弛みが

なんなんとして「若さはいいなあ、もっと大切にすべきだった」との恨

み節の日夜である。 若い人に言いたい。「若さはすべてに君臨して已

まぬ。が、安穏に過ごす中での時の進みは驚倒するばかりに速い。少年

少女時代にだったか教わった「階前の梧葉己に秋声」の警句、常に掲げ

られるを良しとする。でなければ、いい顔の老人にはなれない。

 荒磯で生きるサザエに神様は虹色の部屋与えなさった

 

             (四街道市)中村登紀子

 

 磯のサザエの身をほじり食した後の貝殻の内壁を見るとき、外殻の

 

々しさに比べてなんと滑らかに綺麗な輝きで造作されていることか。作

 

者はこの内面 を虹色の部屋と呼び、神様が与えなさった、とまで。

 

時折、磯の荒波が異物を部屋に運び込めば、その内套に包み込んで真珠

 

のそれに等しい輝き物を作るのであろう。サザエの身の苦い部分まで堪

 

して、空き殻をポンポンと捨てるなんて、罰が当たります。

 

                        

04-DSC_0761.JPG

 園児らが教育勅語を諳んずる戦前ですらなかりし異景

 

             (名古屋市)諏訪兼位

 

 就活の初日から雨きびしさを学べと真新しい靴に降る

 

             (東京都)上田結香

 

 若い人には大学卒業とともに就活と略称される難関がある。大学で初

 の学業、人格陶冶への取り組みを終えた初の成果を希望会社に見せに行

く機会でもある。生見同志の面接であるから、それなりのさっぱりした

印象を与える服装を心掛けねばならぬのだろう。その日は生憎の雨、新

調した靴めがけて降りかかる。これからはこんなのはザラだぜ、と。

 

 赤ちゃんが宙を見つめて舌を出す空気の味身しているように

 

             (四街道市)中村登紀子

 

 実際にはどうなのだろう。嬰児が口をあけて舌を出すのは、母親が抱

 

 っこして飲ませてくれたお乳の味の名残を余すことなく舐めていたのか

 

そろそろ、赤ちゃん言葉(喃語)の準備をせい、と脳からの指示が下

て来たのかであろう。嬰児が上を見るのは仰向けに寝かされているか

で、宇宙を見ているわけではあるまい。空気の味見をする仕事は呼吸

の関係で鼻腔に任されているから舌の機能に任せるはずはない。違う

あ。だけど、嬰児の母御はひと時も、わが子観察の目をゆるがせにし

ないとろはエライとしか言いようがない。              

                

         

 亡霊の教育勅語を幼児に唱えさせるが今はまだ異常

 

           (神奈川県) 神保和子

 

 戦中派我もまさかと目をみはる幼ら誦しゐる教育勅語

 

           (山形市) 黒沼 智

 

 本年度「私人・公人」ノミネート「流行語大賞難解

  部門」

               (名古屋市) 今出公志

 

 軍国の少女八十路となりにけりペンペン草まで食し

  あの頃

               (宇治市) 山本明子

 

 英語にはならぬ言葉の代表か昔カミカゼ今はカローシ

 

               (金沢市) 前川久宜

                   

15-DSC_0039.JPG

    

                

 

  生涯に縮緬何反織りたるや丹後を出でず母の八十三歳

 

                (蓮田市) 青木伸司

 

 生まれてから生国を離れることなく、機織り機の前に座り続けた女性。

 

それが作者の母だ。京都府の北部に位置する丹後。友禅・小紋等を染め

生地とされる丹後縮緬の産地として名高いが、この地でこの生地を織

り続けて八十三歳の生涯を終えた母者を、丹後縮緬何反織りなされしや

 

と痛切な想いで追憶している。

 

           (2017.06.15)

 

 

      随想コラム 目を光らせて NO.363

             ブログ更新 ご通知

170620青森花菖蒲.jpg

              酒井 健  青森花菖蒲(170620)   

 こんにちは。埼玉 、狭山の アオウ ヒコです。

  6月も半ば、日本列島は全般的には梅雨に入っています。沖縄ではそろそろ梅雨明けを迎えそうですが,その他の地方は雨、くもり、晴のまだら模様、それに雷もしきりに現れて、昔のように、一斉に横に伸びた梅雨前線がしずしずと北上するのとはかなり違うようになりました。関東地方は昨日までは雨でしたが、今日は青空に変わりました。梅雨の花、立葵は不順な天候でも、構わぬから普通に咲け、という風情で、既に幹半ばまで花が咲き上がりました。アジサイは明らかに遅れていますので、雨を待つまでもなく、庭には人工雨を滴らせております。

  見逃せぬ世界のニュースから:

 1.「共謀罪」法案成立。  なにしろ、与党の議員数が過半数を超えていることから、このような法案が通れば、後世の国民に難儀が降りかかるということは目に見えていても、日本には迷君が君臨し、人事権を内閣府に握られているため、配下の議員も官僚も、傲り高ぶる迷君の意向に泣く泣く従わざるをえない。嘗てはドイツのヒトラー、いま北朝鮮、米国、ロシア、トルコ、そして日本であろうか。驕り高ぶった指導者が跋扈する国では、厭世的な空気が流れて、生きがいが求められない代になって行く。そして、今日6月15日、我が国では「共謀罪」法案の審議打ち切り、本会議で採決強行が報じられている。戦前の治安維持法の再来といわれる。警察人口が2倍になったので、彼らは何かないかと、しごとをしたがる、ともいわれる。

 2.「森友学園」「加計学園」国庫への穴あけ責任;

 オレは一番偉いから、女房が校長を務める小学校が新校舎を建てるといえば、「そんなら、土地はただみたいな価格で分けてあげるよ。そう、言っとくよ」というのが「森友学園」問題だし、昵懇の友人が「獣医学部新設」したいと言えば、「競争の手をあげた大学には手を下げさせ、今治市には土地を無料で提供させた。これが「加計学園新設」問題である。この二つが難なく成立すれば、その分だけ国庫に穴が開くことになるのだった。「私の妻も、わたしもこの問題には一切関係がない。あれば、私は(職を)辞めますよ。」とつんのめるような口調で言い切った彼。「加計学園問題」でも同じような言い訳をした迷君。男の一言、金鉄の如し、というではないか。よもやお忘れじゃあるまいに。検察あたりも、一つ迷君の言動を俎上に載せる検討をすべき頃ではありませんか。

 2.ロンドン高層住宅で火災;

 今朝のTVを点けて驚いた人は多かろう。イギリスのロンドンで、1974年(昭和49)築の高層住宅ビルが下から上まで真っ赤に燃え上がっている映像に出くわした。43年前の建築である。火の回りが早く、住居者の避難が遅れて、今後犠牲者がどのていどになるか、大事件である。「 タワー・インフエルノ」という高層ビル火災に挑む消防関係者を描いていたが、ビル内に入り、上階までエレベーターで肉薄して、という映像であったから、あの当時はすでに高層ビルの耐震耐火は相当に進歩していたのか。ロンドンのビル火事の犠牲者を悼むとともに再発のないよう望みたい。

  薔薇の動静ほか:

 春薔薇はほとんど終わり、2番手のばらがちらほら、私を忘れないでね、というくらいの咲きようです。つる薔薇の咲殻摘みを早く終えねばと思いは逸るのですが、労働力が追いつかず、現実にはそうもいかない。園丁も無理がきかぬ歳になったようで、梅雨の晴れ間を見ながら、ぼちぼちでしょうか。ふたたび、土竜君の活動が始まったようです。

  ブログ更新しました:

                                                       

  さて、今回の随想コラム[目を光らせて]は NO363 「 震えたぞ 裂けたぞ 空気が 産声で 命の目覚め みなぎる力 *」をお届けしています。

                                      

   URL: http://columneye.blog.so-net.ne.jp/ 
       随想コラム [目を光らせて]so-netブログ
   e‐mailhiko@yc5.so-net.ne.jp

 

           (2017.6.15)

 

 

 

 


nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

362 人柄の余韻の中の春炬燵 [文芸(短歌・俳句) 時事]

                                              

    随想コラム「目を光らせて」NO.362朝日歌壇・朝日俳壇」から

                          

             俳壇 期 間:2017..06~27

 

       

         人柄の余韻の中の春炬燵



                   題 目:朝日俳壇(2017..20)

      群馬県東吾妻町酒井大岳さんの入選作

 

                                        アオウ ヒコ 

     

34-DSC_0032.JPG

      画像:洋画家 青沼茜雲 作品集から。26.「恋の化石」

フランス・サロン・ドトンヌ会員

 ・ノーベルノルウエー財団認定作家

     

 ・世界芸術遺産認定作家

 

・日展所属  

       

 

        「朝日歌壇・朝日俳壇から」       

 朝日新聞の歌壇・俳壇の入選作から最新の事柄を取上げて詠んだ作品

 

を選び、筆者がコメントを付けています。コメントは文芸上の範を越え

 

ることがあります。作品の頭に印が付いた作品は時の政権が推進する

前のめりの右傾化路線や平和憲法を無視し、国会の存在をないがしろに

 

するさまを危惧する市民の投稿作品です。

 

 これらの作品は、ここでは個々の作品の文芸上の軽重を問うことなく

 

注目すべき最新話題の作品として、そのすべてを採録しています。

 

 これらの作品に対しては、作者の真摯な叫びに耳素直に従うべし、と

 

してコメントはつけておりません。また、文中敬称は省略しています。

 

                        (筆者) 

 



           朝日俳壇 2017.006 

 

01-DSC_0550.JPG

 

     本編で使用した写真は狭山「山歩会」による散策から。

 

     「六義園、とげ抜き地蔵」(52日)」 photoaou.hiko

 

 

                                                                                                                                                                                                

  春や戦後父の工場の原動機

             長崎県小値賀町)中上庄一郎

 

  おぼろ夜にうなぎとる火やまたおぼろ

 

                     河内長野市)西森正治

 

 ぼおっと薄く曇る春の宵、川辺にウナギを捕る漁火もこれまたおぼろ

 

で言うことなし。春うららの好時節。

           

                      

  青空に龍太の鳶をさがしけり

 

           (野洲本巣市) 清水宏晏 

 

 人はどの道を選ぼうとも、先達が志し、残した遺訓ともいうべき作品

 

を渉猟し、わが道への教訓を得ようとする。特に和歌俳句の世界では意

 

識的に先人の傑作とされる作品の一部、または全てを取り入れた「本歌

 

取り」の作品を作ろうとする。そのためには前提として斯界に先人の優

 

れた作品が広く知られ、認められていることが必要であろうか。

 

 この句では龍太の鳶である。「春の鳶寄りわかれては高みつゝ 龍太」

 

を本歌とするこの作品。果して師匠の高みまで到達しているかどうか。

 

ちょっと位相が違うから、簡単に比較はできないようだ。

 

 

  一生のはじめとをはり蒲団かな

                      青森市)浅田 剛

 

 呱々の声を挙げるときから、ずうっとありまして、末期の水の臨終を

 

迎える場所は蒲団だと。なるほど確かにその通りだ。

 

 

  走る野火火の鳥のごと天に舞ふ

 

                  和歌山上富田町) 中松 健

 

 前6世紀にペルシャで栄えたゾロアスター教、中国では拝火教と呼ば

 

れたが、漆黒の宵闇に赤々と伸びる火の舌の動きは、素朴な人類にとっ

 

ては驚異であり、時には脅威ともなる存在として、今も人を魅して已ま

 

ない神秘性を籠めている。

 

 

 繁栄やさくらと原発事故に住む  

                       三郷 岡崎正宏

 

 ★ シベリアに兵は凍てをり無名墓地 

                      宮崎市池下たかを

 

  流水もて繋ぐ思いの北領土      

                                                (横浜市 伊達 天

 

  戦争がまた忍び来る白泉忌    

                                (青梅市津田 洋行

 

 

 

 

 

      朝日俳壇 2017.0.1

02-DSC_0551.JPG

         

      

  卒業式別れの歌は海行かば  

                       始良市)黒木美利

 

  入学も卒業もなき子供かな  

                 川崎市)多田 敬

 

  

  雛飾る媼(おうな)翁の華やぎて 

                       さいたま市)大塚四郎

 

 年老いた男女呼称としてこの句ではが使われ媼の字だけには

 

(おうな)とルビが振ってある。媼翁おうな・おきなと訓読みで読ま

 

せるのだろう。これだと俳句の五七五の韻律にもそぐうし、なんら問

 

題がない。ところがを(うな)と書けば、婚姻関係のない老女に

 

なってしまうというからややこしい。ここではこの媼翁の関係を永年

 

れ添った老夫婦が二人して桃の節句を寿ぎ、雛飾りに興じる図とし

 

めたいとしている。音読みの二人の関係は(ヲウオウ)ではあり

 

ませんよ、とする丁寧な付箋がルビに込められている。

 

 

  登り来し道に悔いなし山桜

  

                   沼津市) 林田 諄 

 

 山頂はまだ先だが、途中の山道で美しい山桜に出会った。

 

これまでのわが人生に悔いなしの思いを後押しする美しい山桜

 

でした。

 

 

  リハビリの散歩の友はカタツムリ

                 市) 志賀克毅 

 

 懸命にリハビリに勤しむ友人の姿。それは最遅速を代表する

 

カタツムリの動き。主人公の彼も、真似られる蝸牛も真剣に、

 

音を発するでなく、口を引き締めて前を見つめて動く。

 

 

  百畳の凧に平和と大書せり

 

           埼玉県宮代町酒井忠正

 

 

  勤勉な土竜の担ぐ春の土

             東京都) 吾妻勝美 

 

 夜の内に懸命に働くのだろう。強靭で頑丈なシャベルをフル

 

回転させて穴を掘り、途中掘り当てたミミズや虫の類を次々に

 

口に運ぶのだろう。掘り返したトンネルの土は最先端部でこん

 

もりと盛られている。翌朝、庭を見回った家人は「今朝はここ

 

か!」と嘆きの声を発するが、掘削され盛り上げられたばかり

 

の土は、小石や砂利等を含んでおらず、まずは新しい黒い春の

 

耕土として庭師に提供され得る。これは実に有用だと評価し喜

 

ぶ家人もいる。

 

                

 

 草餅といふ大いなる山河食ふ

 

                 彦根市)阿知波裕子

 

 早春に和菓子屋の店頭に姿を現す「草餅」。確かにその原料

 

をなすのは春の息吹を色濃く込めた大いなる山河からの贈り物、

 

ヨモギ。なんと豪勢な山河からの贈り物であろうか。

 

               

 春一番無茶ぶり獅子の如くかな

            浜松市丸橋幸雄 

 春一番が吹く頃、外の立ち木はまだ枝や葉を備えてはいない。

風の通り抜けがいいために春の暴風を遮るものがなく、その無

茶ぶりたるや獅子奮迅の暴れ様に似るとでも。

 原爆ドームかく在りつづけかげろへる

                 三好市) 稲垣 長

         つづく   NO.362-2

           (2017.06.01)

 


nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

362-2 阿蘇五岳われもわれもと笑ひけり [文芸(短歌・俳句) 時事]

 

                   朝日俳壇 2017.0.20           

06-DSC_0556.JPG

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                          

  病む父に逆縁という余寒あり

              京都市山崎貴子

 

 父は病を得て、このところ闘病中である。ひたすらわが身の

 

回復を念じての日々で、ほかの心配事に耳を貸す余裕はない。

 

そこへ年下の身内の訃報が届けられる。「えっ?あいつが俺よ

 

り先にかい!」と父は思わず声に出す。ベッドの暖気に包まれ

 

て闘病に専念したい父にとって、その知らせは掛蒲団の足元か

 

ら強引に忍び込む寒気そのものだった。

 

 

 蕗の薹萌黄を尽くし茶懐石  

                       神戸市)岸田 健

 

 茶席で目に飛び込んだは萌黄の色を尽くした蕗の薹が主の

 

懐石でありましたなあ。

 

 舟かくし舟音かくし遠霞            

                                   (兵庫県太子町一寸木詩郷

 まだ春浅きころ、港へ舟が近づいている。だが、舟の姿も舟を

 

漕ぐ音も一向に聞こえない。今朝は遠くから春霞がかかり、舟

 

の姿と音を隠している。(或いは船とそのエンジン音かも)

 

   

 人柄の余韻のなかの春炬燵  

                       群馬県東吾妻町酒井大岳

 

 私淑しているお人が見えて、炬燵をご一緒しました。談論風

 

発はそれなりに、お人柄が醸し出す余韻も加わって、充実した

 

春炬燵。なんとも幸せな、素晴らしい春のひと時であったこと

 

か。(そこはかとなく、あの余韻を醸し出す人格の持ち主をひ

 

たすらに羨む。そうは簡単にはできそうにないから。)

 

                   

 着ぶくるる積極的に平和主義

 

            福島県伊達市)佐藤 茂

 

 

  阿蘇五岳われもわれもと笑ひけり

                (市)加藤うゐ

 春の俳句の代表的な季語「山笑う」は厳しい冬の寒さに耐え

た山や高原に春の伊吹が戻ることを謂い「春来たる」である。

ここは、九州の阿蘇山の爆発によって出来た阿蘇の外輪山と中

央火口丘(阿蘇五岳)のどれかが春の息吹をキャッチして「わ

しの山笑いましたぜ」と先行すれば、隣り合う岳々がすかさず、

われもわれもと唱和に及んだらしい。

 流氷の哭いて近づく夜なりけり  玉野市)勝村 博

 九州生まれの東京育ちとなると、春が近づく標として流氷の

 

接近、その時の音が哭くような音を立てること、ともに経験が

 

なく想像するほかはない。おそらく氷同志が押し合い圧し合い

 

の接触の際に音を発するとすれば、舟の艪が軋む、あのギィ

 

近い音ではあるまいか。音としては低音の呻りに近いのだろう

 

が、春近しの音だとすれば、敢えて好感を持って迎えるのかも

 

知れない。

 

 

  家々の勝手知ったるしじみ売り 

                                             (奈良市田村栄一

 家々をしじみ売りが一軒一軒触れて回る奈良の住宅街。まさ

 

か、天秤棒で吊った荷姿でまわるのではあるまいが、「しじみ

 

、しじみ、しじみは需りィまへんかー」と触れ回るでなくとも

 

、まあ各戸の勝手に通じていること驚くべし、個人情報は筒抜

 

けですよ、と好意的に伝えている。

 

 

 

             朝日俳壇 2017.0.27

07-DSC_0557.JPG

 フクシマの桜哀しも原発禍   横浜市)穴沢秋彦

 トランプも黄砂も視界不良なり山梨県市川三里町)笠井

 

 夢のやうに桜はありぬ原発忌  三郷市)岡崎正弘

 

 

  大試験母にも長き一と日かな

                (神戸市)涌羅由美

 

 高校か大学か、子供の大受験日が今日になった。今日の一日は

 

特別の長い一日、わが子の試験合格をひたすらに願った。受験に

 

挑戦する子供だけでなく、親の私にも祈願の願いだけを一心に願

 

い続けたロンゲストデイでしたよ。

 

 

  合格のしらせに弾む田打ちかな

                       (越谷市奥名房子

 

 子が試験に受かったと聞いて、田を打つ鍬に思わず力が入る。

 

これが逆だったら、どうでしょう。いえ、うちは合格したんで

 

す。そんなこと考えることはありません。

 

          

  特攻の乱れなき遺書白椿  東大阪市)渡辺美智子

 

 戦乱の世を生きのびて青を踏む (合志市)坂田美代子

 

              ★

  水となり水脱ぎ白魚汲まれたる

 

                 熊本市西 美愛子

 

 白魚は本体確認のために猪口なり小さなガラス器に移して

 

、供される。白魚は水桶に入れても透明だから、見た目には

 

白魚が泳ぐ桶は水だけが入っているように見える。

 

 さて、これからが白魚のおいのち提供の次第である。

 

1.まず水桶から柄杓で少量の水を桶に零しながら水と白魚

 

 が汲まれる。

 

2.猪口には半分ほどの水と白魚数匹が残る。白魚は水の中

 

で勢いよくはねては泳ぐ。客は猪口を唇にし、ぐいっと吞み

 

干す。そのあとの対応は次の二つに別れる。

 

1.口中で暴れる数匹の白魚の動きを楽しむ。弱ってきたこ

 

ろ舌でころがすなりして、あと丁寧に嚥下する。

 

2.すぐに飲み込み、胃から食道にかけて白魚の泳ぎを許容

 

する。いずれにしろ、汲まれた後の白魚のいのちの長短には

 

あまり差がないようだ。

 

 

 

             

           (2017.06.01)

 

 

 

URL: http://columneye.blog.so-net.ne.jp/     

     随想コラム [目を光らせて]so-netブログ     

 e‐mailhiko@yc5.so-net.ne.jp  

 

 

 

                                        


nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

 361  二万年前のラスコー壁画見て核の処分の十万年想う                                     [文芸(短歌・俳句) 時事]

                                               
   随想コラム「目を光らせて」NO.361「朝日歌壇・朝日俳壇から」                   

                     歌壇 期 間:2017.2.06~27

    二万年前のラスコー壁画見て核の処分の

   十万年想う 
          
      題 目:朝日歌壇(2.12)(三鷹市)大谷トミ子さん の入選作。

                                                                                                                                                                                                              
                          アオウ ヒコ 

 
33-DSC_0033.JPG
                                            
画像:洋画家 青沼茜雲  作品集から    25.
「桜川」  能より。
・フランス・サロン・ドトンヌ会員
・ノーベルノルウエー財団認定作家                                   ・世界芸術遺産認定作家・日展所属 
 
                                                      
        「朝日歌壇・朝日俳壇から」
       
 朝日新聞の歌壇・俳壇の入選作から最新の事柄を取上げて詠んだ作品
を選び筆者がコメントを付けています。コメントは文芸上の範を越える
ことがあります。 作品の頭に印が付いた作品は時の政権が推進する
前のめりの右傾化路線や平和憲法を無視し、国会の存在をないがしろに
するさまを危惧する市民の投稿作品です。

  これらの作品は、ここでは個々の作品の文芸上の軽重を問うことなく、
注目すべき最新話題の作品として、そのすべてを採録しています。これ
らの作品に対しては、作者の真摯な叫びに耳素直に従うべしとしてコメ
ントはつけておりません。 
また、文中敬称は省略しています。(筆者)
                                           
   朝日歌壇 2017.02.0
 
8-DSC_0246.JPG
       
  以下、本稿に挿入した写真は、春を待ちわびる小庭の草花たち。 
        
           ★                                                                                                                                                                                                 
 天に吊る雪籠ゆれて京駆けるたすきの女子を
    降り隠したり
              (東京都) 石塚光子

 いま、雪降りしきる中を、京都女子駅伝が行われている。選手の姿
隠すほどの大雪だ。天に吊るした大雪籠を揺らして雪を振り撒いている
とする突飛な発想による。冷たいだろうな、とするよりも、もっと降れ
ばいいのに、とけしかけている。
                
                
   ラージヒルに雪降りしきり次々と色とりどり
    の鼫が飛ぶ
             (太田市)川野公子
 鼫(むささび)ねえ、腹に抱えたマントを膨らまして高い杉木立から
向こうの木立へと飛翔する。高尾山ではよく見られる。ここではラージ
ヒルに集った世界中の女性ジャンパーが色とりどりの飛行服を披露する。
のところ、日本勢は強い。目張りも入れて、美しくなった鼫たちをい
なあ、強いなあと憧れの目で見上げている。たのもしい。
              ★                                                                                                                                                                                                 
              
 吾の知らぬ母の裸体を介助して風呂に入れ
 おり若き介護士 
             (岡山市) 米村恵子
  
 崇め奉ってきた母様だったから、その裸姿を見ることはなかった娘。
それを若い介護士(♂)に介助、入浴を任せるなんて!と、この歌の作
者は非難の目を向ける。
 何を考えているのだろうか。母様はすでに体躯の張りもなく花房はす
でに枯れて垂体として留まるのみ。娘御よ、汝の知らぬ母御の四肢を洗
浄してよくよく「母の裸体」を見つめられよ。その認識から初めて物事
は始まる。若き介護士へのあらぬ邪心などは浮かばず、心からのお礼の
言葉が迸り出るはずだ。
                                                                                                                                                                                                                  
 いただきゆ御蔵島の森を見おろせば立ちのぼり
 くる柘植を伐る音   
                 (埼玉県)酒井忠正
 御蔵島の最高所に登って森を見下ろしてみた。思いもしなかったこと
だが、森で柘植を伐る音がコーンコーンと立ち上ってくる。柘植の樹は
固く締まった組織でできていてそう簡単には斧の刃を受け付けない。
                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                 
 あらたまの日の昇る時獲物得し荒磯の鷹は
  塒に帰る 
           (日立市)  鯉渕仁子
 子孫を育てる生物は、その子が育ち、独り立ちするまで獲物探しに日
夜奔走する。ここでは海浜の荒磯の鷹、日の出の時に獲物を得て、ほっ
と一息、さあ、塒(ねぐら)までこれを運ぶ。どうも、これが日課であ
らしい。
                                                                                                                                                                                                                    
   朝日歌壇 2017.02.12
7-DSC_0245.JPG
                   
               
 ★ のんのんと雪降る村の山すそに南洋院
  忠勇右舷居士之墓         
                                              (横浜市) 黒崎明也
 ★ 背に腹はかへられぬと飛び付くな増えゆく
  大学の軍事研究費        
                                              (長野県) 小林正人              
             ★                
 たのしげに笑ふ亡き息子の声混じるうから
  団欒のカセット残る 
                                           (茅ヶ崎市)若林禎子

 人が死ねば、確かにその命は消滅して、家庭からもその姿は消える。
在りし日の証明として、静止写真が遺され、その遺影はうから(親族)
の手に渡り、大切にされてきた。だが、映像や音声の記録手段が進歩
して、カセット、CD、DVD、映画となると、声だけが残るだけで
なく、当時の時点で切り取った動画がいつまでも延々と生者として
残ることになる。
最初は「あれを見ればあいつに会える」と思っていたものがが「死ん
だ証拠に動き出さない映像にして欲しい」と思うようになる。
 団欒の声に今は亡き人の声が混じるくらいがいいところかな。人同士
の生死の定めは葬式で和尚から引導を与えられた時点から、DVDも
そのシーンでジ・エンドとする方がいいだろう。いつでも動く死者に会
える、となったら不思議と生者は動く死者に会おうとしないものだ。
生者はそこのところの機微を知ったあと、余計なものは残さずに棺桶に
脚を入れた方がよさそうだ。
                                                 
2-DSC_0249-001.JPG
  まだ虹を見てるのだろうこの空のむかう
  息子はまた留年す 
                     (香川県) 薮内真由美 
 こういうお母さんを持つ息子の感想を訊きたいものだ。また留年すと
あるから、この留年は二度目か三度めかであろうが、母親の心根の優し
さだけがやけに目立つ。「あの子は入ったのが遅かったから」などと言
い訳を創造してくれる母親もいて、それをいいことに、だらだらと甘え
続ける息子がいる。傍目にも切歯扼腕である。息子さんよ、今年こそ留
年などしないで母者を安心させるように。頼みますよ。
                                                                                                                                                                                                               

  雷神と風神冬のガラス戸の外にいませば
  猫はうなれり
                 (川越市) 小野長辰 
 雷と風の神がガラス戸を隔てて荒れ狂っていれば、内なる猫は対抗上
うなりださざるを得ない。足を吊り上げ、逆さ毛を逆立てたりする。

  二万年前のラスコー壁画見て核の処分の
  十万年想う 
            (三鷹市) 大谷トミ子 

                 ★                                                                                                                                                                                                 

     朝日歌壇 2017.02.20 
6-DSC_0244.JPG
                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                              
  尾に触るれど動くことなき冬蜥蜴
  葬らむとすれば草をつかめり      
                                (香川県) 薮内真由美 
 
 冬の間は蜥蜴は体内エネルギー消費を最小にして冬眠している。じ
っと動かないものだから、お節介な人は取り出して葬式をしでかそう
とする。蜥蜴はそうじゃないんですよ、生きていますよ、と致しかた
くエネルギー回路を「緊急」に動かして指の先で草を掴む。
ああ、生きてるわ、生きてるのね、とそのお人はよろこぶが、今日の
ハプニングで啓蟄時までは保つとされたエネルギーが大消費されて
まった。困りましたよ。遊びも大概にしてください。

  嘆きの壁万里の長城ベルリンの壁悲劇
  再びメキシコの壁     
                      (蓮田市) 齋藤哲哉
             
  だんだんとおとなしくなる身の内の鬼に
  向かひて少し豆撒く           
                                               (前橋市)荻原葉月 
 嘗ては目を光らせていないと何をしでかすかわからぬ身の内の鬼がい
た。が歳古るにつれてあまり暴れなく成りつつある。これだとちょいと
豆撒いてやればよさそう。身の内に旦那をも含めると一段と味が増すよ
うである。
 
                                                 
3-DSC_0275.JPG
                     
   (ひ)をまとい器の面(おもて)が濡れ光る窯の
  温度は千二百五十        
                                                  (神戸市)加古裕計
 窯業に従事する人の密やかな楽しみは窯の温度管理と製品の出来をぴ
ったり合致させることか。窯の覗口から見える器表面が濡れ光り始める
温度が千二百五十度である。これからどうするかによって、製品の品質
が決まる。他人には教えられない。

 
 天気予報の後に線量測定値流れています
  六年目の今も 
                      (福島市) 美原凍子
 あくがれて外界を見し峠(たわ)に来て今日は
  無住の生家見下ろす         
                   (福山市) 武  堯
 小さい頃から学生時代にかけては、あの高い山の頂上に登り、峠から
下界を見たものだった。今日は時が流れて、誰も住んでいない生家の姿
を追い求めている。生々流転、万物は永遠に生死を繰り返し、絶えず移
り替わってゆく。
                
 七歳が枇杷屋になると蒔きし種十年経ちて
  枇杷に花咲く
               (西城市) 梅木敦子
 息子が7歳の時、枇杷を食べた折、突然に「僕は将来枇杷屋になる。
この種を庭に蒔かなきや」と言い、種を蒔いた。その後十年が経過、誰
もが忘れていた今年、その枇杷が初花を付けた。あの子も枇杷屋はさて
おくとして、そろそろ花咲くころですかね。
  朝日歌壇 2017.02.27
5-DSC_0243.JPG
                       
 声あげる六〇〇の大学あることがアメリカの
  腹筋のようだと想う                                                                        
                    (水戸市)中原千恵子
                            
 教え子の賀状に二行太き字で「除染の現場で
  がんばっております」       
                (仙台市)土生博子 
 
 沖縄の海の悲鳴が聞こえ来るネットニュース
     を見ればたちまち                                                                    
                   (大和高田市)森本
                  

  天界の輪廻と森羅万象の小さき証言者
  いぬふぐり咲く                       
               (アメリカ)郷 隼人

  空を見上げれば天界いっぱいに広がる宇宙の輪廻の基に存在する星々
が無限に輝くのが見える。また、この地球に目を移せば、天界で生じ
る森羅万象を地球上至るところの隅々まで根を下ろし、無数の小さな
事件をも空色の花で覆いつくすいぬふぐり。(この花の目からは天界、
宙の小事件といえど逃れることができないことから「小さき証言者」
と呼ばれているらしい。
 罪を犯した者にとっては、罪業への天と地の厳しい掟;曰く、「天知
る地知る我知る」ありて、加えるにいぬふぐり咲くとなれば、深い深
い諦めの境地に追い込まれるのであろう。
              ★                                                                                                                                                                                                 
                                                       
3-DSC_0241.JPG
  白菜に刃を入れたとき山焼きの始まり告げる
  花火轟く
               (奈良市)山添聖子

 いずれも季節の出しものが始まるきっかけの符合を題材にしている。
白菜に包丁を入れたときでした。だしぬけに花火が轟きました。その瞬
間が「山焼き」の開始を告げるものでした。要するに、山には春が来て
たのです。
  
「ひでりん」と夫の名を呼びし頃のあり
  陽に干してまた使うてみるか     
                  (東京都)松本知子

 夫が死去して彼が寝ていた寝具をどうするか、気にはなっていたので
しょうが、とりあえず押し入れにしまっておいた。夫とは仲が良く綽名
でよんだこともある。あの敷布団、いい布団だし、天日によく干せばカ
ラッと乾くだろう。よし、そうしてみよう。ひさしぶりに「ひでりん」
と寝てみよう。

          
 日輪を一つ掲げてキラキラと志賀高原に
  霧氷林あり 
               (熊谷市)内野 修
 遠くに霧氷林の水平線が見える。志賀高原の早朝。日輪が一つ登り始
める。キラキラと周りの霧氷林を光らせながら。この数分が勝負だ。静
かなたたずまい。風もない。 
 うつくしい自然をことばで切り取る訓練をしよう。できるだけ優しい
言葉をうまく使うように心がけることにしよう。
                                                 
1-DSC_0236.JPG
 天下りまずは絶えぬと割り切るも
  文部省下と知れば苛立つ         
                  (舞鶴市)吉富憲治

 近づけば一分足らずに死亡とう
  デブリを抱くフクシマの鬱          
                  (下野市)若島安子
 フクシマの被災地は帰還迫られる
  果てしなき廃炉と同居をせよと      
                  (東京都)松崎哲夫
           ★                                                                                                                                                                                                                 
 ギャングとう終身犯が子らの食う動物型(アニマ
   ル・シエイプ)シリアルを食む       
                                                (アメリカ)郷 隼人

 作者の郷さんは何かの罪でもう長いこと服役している。その母親が早
期退所を願って運動したが、果たせぬまま先に逝かれた。重罪を犯した
のであればそれを償うのは当然であり、歌の道への獄中の精進も評価さ
れてよいと思っていた。ただ、何の罪で収監されているのか、について
は情報が少なかった。この歌で、作者は自ら「ギャング」で終身犯と説
明しているようだ。
 私はギャングねえ、と絶句する。犯行の場で人の命が消えたのであろ
うか。とすれば、償いはそれなりに重くて当然となるのだろう。動物型
のシリアルを食べているのは軽すぎると自嘲しているが、自らの来歴を
短く述べた歌として考えさせられた。
               (2017.05.15)
 
URLhttp://columneye.blog.so-net.ne.jp/     
随想コラム [目を光らせて]:so-netブログ     
 e‐mail: hiko@yc5.so-net.ne.jp
  

nice!(1)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感
前の10件 | -